[MIXゾーン]“ロティーナ・ショック”にさらされるC大阪 好守見せるも上向かぬチーム

目標達成への危機感を口にしたヨニッチ(写真は川崎戦) photo/Getty Images

天皇杯、ACL出場権獲得に足踏み

 C大阪サポーター席に掲出された横断幕にはこう書かれていた。

「クラブから早急に説明があれば皆で良い未来に進んでいけるはず ファンは辛い想いを抱えたまま応援しなければならないの?」

 ロティーナ監督の退任が発表されたことで、チーム内外に与えた影響は非常に大きい。特にサポーターサイドにはクラブからの明確な説明は未だないまま。クラブ史上最高の勝ち点獲得も視野に入り、ACL出場権も狙えるだけに、果たして本当に退任が必要なのかどうか?
 C大阪のサッカーを守備的でおもしろくないという人もいるようだが、少なくとも柏との試合では攻撃的な姿勢を崩さず、最後までゴールを狙うサッカーをしていた。残り10分は足が落ちた柏をゴール前に釘付けにして猛攻を仕掛けた。結果的にゴールを奪うことはできなかったものの、非常にエキサイティングな戦いぶりは他の上位チームと遜色ない。それでも敢えて指揮官を替えざるを得ない理由があるのなら、一刻も早くクラブは説明責任を果たすべきだ。それが今クラブに求められている。

 試合は共に3バックのミラーシステムで始まった。互いにシステムがはまることから、局面局面での激しさが際立つ展開になった。敢えてひとつ違いを探すとなると、柏にはFWオルンガがいるということだ。C大阪から見れば彼をどうケアするかが非常に重要になる。アバウトなボールでも収めることができるし、彼にボールが入れば柏のFW江坂らの機動力が活きてくる。

「オルンガは素晴らしいテクニックを持っている選手。一瞬たりとも気を抜けなかったが、チーム全員で良く守れたなと思っている」(C大阪CBヨニッチ)

 柏はボランチでゲームを作りたいチームだが、そこにC大阪のプレッシャーがかかった時に最終ラインから遠目のターゲットを狙わなくてはならない場合がある。その意味でオルンガの存在は何にも代えがたい。同時にC大阪にとっては非常に厄介な相手である。しかも相手の3トップに3枚で守らなくてはならないだけに、非常に難しいミッションになる。それでもC大阪のヨニッチと瀬古、そして木本で組んだ3バックは、ボランチの藤田、更に左右WBの片山、松田が中央に絞りながら柏の攻撃陣を抑え込むことに成功した。

後半から投入された柏のMF小林は「前半はなかなか奪ったボールをマイボールにすることができなかった。まずは奪ったボールを大事に繋いでいくことと、自分がアクセントになればと思って試合に入った。ビルドアップに関わることを意識したが、もう少し縦パスや相手にとって嫌なことをできればよかった」と話した。柏は6連戦の4戦目という非常にタイトなスケジュールだけに、時間とともに選手に疲れが見えたことも確かだ。後半は守備に追われることが非常に多かった。

 押し気味にゲームを進めたC大阪だが、最後までゴールを奪うことはできなかった。

「前線に強い選手がいる相手に全員でカバーしながら守ることができたが、最後のところで決め切れなかったことはチームとしての課題」(C大阪MF坂元)

 オルンガ対策を万全にしたC大阪だっただけに、後半見せた怒涛の攻撃を何とか得点に繋げたかったところだ。

 この試合を一言でいうならまさに「タフなゲーム」(ヨニッチ)。

 局面での激しさが随所に見られ、サッカーが格闘技であることを実感する試合だった。ただC大阪とすればACLと天皇杯出場権が目標だけに、この結果に納得するわけにはいかない。

 ヨニッチは「勝ち点1で3が取れなかったのは残念。残り2試合に時間がない。しっかり勝ち点6を取りたい」と話した。

 残り2節。果たして……。

文/吉村 憲文

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