昨季冬の移籍市場で加入した際には待望の存在として歓迎されたテクニシャンだが、今や彼は完全にチームで浮いた存在となってしまった。インテルに所属するデンマーク代表MFクリスティアン・エリクセンのことである。
今年1月にトッテナムから迎え入れられた際に、彼は間違いなく周囲から大きな期待をかけられていた。プレミアリーグでも屈指のチャンスメイカーがインテルに来た。彼の加入でチームの攻撃が変わると期待していたファンも相当に多かったことだろう。
しかし、エリクセンは加入から1年の時が経過しようとしている今もまだ、インテルで爪痕を残すことができていない。彼が得意とするトップ下のポジションが現在のチームにないということもあるが、それでもこの状況はデンマーク代表MFにとってかなり厳しい。今季はここまで公式戦10試合に出場しているのだが、その中でエリクセンが獲得しているプレイタイムはわずか310分。加えて、ここ数試合は試合終了間際に投入されることも増え、前節ボローニャ戦ではたったの1分間しかチャンスを貰うことができなかった。
そんなエリクセンのインテルにおける扱いに憤っているのが、前デンマーク代表監督のオーゲ・ハレイデ氏だ。2016年3月から今年7月まで4年半にわたってデンマーク代表を率いた同氏は、エリクセンとの親交も深い。彼の実力をよく理解しているだけに、ハレイデ氏はなぜアントニオ・コンテ監督がこのテクニシャンを重用しないのかわからないと『BT Sport』へ次のように語る。
「クリスティアンにとっては残念な状況になっているね。コンテが彼をチームから締め出していることは、完全に間違っていると思うよ。ボローニャ戦のような起用法は屈辱的だ。彼はインテルでプレイするために十分なクオリティを備えているのに、なぜかコンテはあんな使い方をする。トッテナムとデンマーク代表ではキープレイヤーであることを証明したのに、悲しいね。彼の代理人はしっかりと状況を理解してほしい。インテルがクリスティアンにとって最適な場所でないことは明らかだよ」
インテルで不遇の時を過ごすエリクセン。はたして、プレミアで鳴らした世界トップクラスのテクニシャンは今後どのようなキャリアを歩んでいくこととなるのだろうか。ネッラズーリで過ごす時間が過去のものになる日も、そう遠くはないのかもしれない。