[MIXゾーン]横浜FCがJ1経験を蓄積中「プランはあったが、遂行する力が足りなかった」

王者相手にも斉藤光毅は得点機を作り出していた photo/Getty Images

チャンスを生かせず、横浜ダービーで4失点完敗

22日(水)にJ1で13年ぶりの横浜ダービーが開催され、横浜FM4-0横浜FCという結果に終わった。点差のついた試合だったが、31分にオウンゴールで先制点が生まれるまでは横浜FCが主導権を握っていた。ここで詳細するまでもなく、アンジェ・ポステコグルー監督のもと横浜FMが指向するサッカースタイルは特徴的で、その長所や短所は各チームがすでにスカウティング済みで“狙い”を絞って戦っている。無論、この日の横浜FCもしっかりと狙いを持って臨んでいた。

「ハイラインが特徴的なチームなので、そこの背後はFC東京(第4節)と鹿島(第5節)との戦いを参考にしてだいぶ狙っていました」(下平隆宏監督)

「前半はわりとやりたいプレイができていたと思います。(横浜FMは)ハイラインで前から来るので、引っ繰り返す意味でもサイドバックの裏を狙おうと監督が練習から言っていました」(草野侑己)

「最初の20分ぐらいは相手にとって嫌なスペースであるサイドバックの裏を突けていました。プレッシャーをかけるのもマンツーマンでうまくハメることで相手の嫌がるプレイができていました」(手塚康平)

監督、選手が共通して語ったように、立ち上がりの横浜FCはペースをつかんでいた。決定機もあり、6分、12分、15分にいずれも斉藤光毅がシュートを放ったが、最初の2本はGK梶川裕嗣に阻まれ、3本目はゴールバーに直撃し、リードを奪うことができなかった。しかし、センターバックの田代真一、ダブルボランチを務めた佐藤謙介、手塚康平などから繰り出されるロングパスは正確で、横浜FMが大きく空けていた最終ラインの裏スペースをうまく使って攻撃していた。一美和成のキープ力、松尾佑介や松浦拓弥のドリブルは間違いなく横浜FMを苦しめていた。「前半はうまくそこ(狙いどころ)を突けていました。あの時間帯に点を取れていれば流れは変わっていたと思います」(草野侑己)との言葉どおりだった。

しかし、現実はJ1昇格チームに厳しく、横浜FCは先制点を奪えず、逆に31分にオウンゴールでビハインドを背負うこととなった。オウンゴールではあったが、その少し前から精度の高いカウンターを浴びるようになっており、試合の流れは徐々に変化しつつあった。昨シーズンのJ1王者である横浜FMは決して慌てておらず、したたにチャンスを狙っていた。そして、リードを奪ったことで精神的に落ち着くこととなり、後半になって次々に追加点を奪って王者の風格を示した。

一方、J1経験が浅い選手が多い横浜FCは脆かった。第5節川崎戦も75分まで1-1でいきながら、勝ち越されると集中力が切れ、残り15分で一気に1-5とされていた。時間帯は違ったが、この日も同じことが起こってしまった。

「気を緩めたらスキを突かれるということをこの2試合で痛感しました。自分たちが元気で集中しているときは失点せず、疲れて集中力が切れたときに失点を重ねています。ただ、主導権を握れている時間もあるので、その時間を増やしていくことが勝利に近づくのだと思います」(手塚康平)

「(J1のチームは)勝負強さがあります。ミスがあるとそこにつけ込み、必ず得点につなげてきます。J2だとまた自分たちのボールになったりするのですが、J1は逆にまた相手ボールになったりします」(草野侑己)

この2試合、横浜FCにとって厳しい試合が続いたが、失点数ほど悲観する内容ではなく、むしろ可能性を感じる部分もあった。「今シーズンは降格がなく、(横浜FCも)いろいろと挑戦している。これはいいことで、チャレンジだと思う。立ち上がりのプレス、ボールキープを90分間できるかどうかで、彼らがやり続けるなら自分たちは止めないといけない」とはアンジェ・ポステコグルー監督で、敵の指揮官もその挑戦に理解を示している。

現状はまだ、「プランはあったにせよ、それを遂行する力が足りなかったと思いました」(下平隆宏監督)という状態だった。今後、J1での経験を積み重ねることで若い選手が多い横浜FCがどんなチームに仕上がっていくのか、今シーズンの注目どころのひとつになる。


取材・文/飯塚健司


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