ただ、もっと積極的というか、場面によってはエゴ大爆発でもいいんじゃないかな。相手の陣形を即座に察知し、シュートを狙える場合でも南野はパスを選択するでしょ。間違いじゃないけれど、FWなんだからガツンと一発かましたれや、と歯がゆくなることもあるんだよね。
自分が大好きなモハメド・サラーは、パスが最適なシーンでも強引にシュートを撃つ。フリーで待っていたロベルト・フィルミーノとサディオ・マネが不満そうでも、OBのジェイミー・キャラガーが「あまりにも利己的」と批判しても、いっさい意に介さない。南野は、サラーのような貪欲を身につける必要があるな。
「タキ、なんで俺にパスしないんだ!?」(サラー)
「狙えるから狙っただけだ。黙ってろ、ボケ!!」(南野)
これくらい強気でも構わないさ。
リーグ優勝が決まったとはいえ、史上最多となる勝利や勝点、ゴールディファレンスなど、リヴァプールにはリーグ記録更新の可能性がいくつか残されている。クロップも「消化試合なんかひとつもない」と、最後まで全力を尽くすと誓った。残り試合も前線はフィルミーノ、マネ、サラーの3トップが基本で、南野はバックアッパーに位置づけられる。チャンスの数は多くない。
でも、世界最強クラブのトップチームに名を連ねていることは、紛れもない事実でしょ。実力の証じゃん。だから南野は焦らず、かといってノンビリせず、積極性を全面に打ち出していくべきなんじゃないかな。
そしてゴールを量産し、フィルミーノとマネ、サラーが南野を強く意識するようになれば、リヴァプールはさらに強くなる。バックアッパーからレギュラーへ──。ピッチの上では、もっともっとエゴイストでいいと思うよ。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。
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