[粕谷秀樹]トッテナムが内側からガタガタと崩れはじめた こじれた人間関係を修復するのは難しい

粕谷秀樹のメッタ斬り 021

粕谷秀樹のメッタ斬り 021

現在も移籍の噂が絶えないエリクセン photo/Getty Images

エリクセンの希望は叶わなかった

聞いてないよ~。

トッテナムの選手たちは戸惑ったんじゃないかな。この夏、クリスティアン・エリクセンの離脱は決定的と考えられていた。「新しいチャレンジのタイミングがやって来た」と移籍をにおわせていたし、ダニエル・レヴィ会長とマウリシオ・ポチェッティーノ監督も、エリクセンのいないチームで新しいシーズンに臨もうとしていた。その一環として、ジオバニ・ロ・チェルソとタンギー・エンドンベレを獲得したわけだからね。

しかし、エリクセンが希望していたレアル・マドリードとの交渉は成立せず、リンクされていたユヴェントスやバルセロナも、正式ルートで接触を図った形跡はない。慌てたレヴィ会長がいくつかのクラブに打診したものの、金銭面で折り合わなかったり、エリクセンが拒否したり……。

まずいよね。一度は背を向けた人間が残ると、「なんだそれ!?」って不愉快になる。信頼関係を損ねた結果、チーム全体のパフォーマンスが急降下。チャンピオンズリーグ(以下CL)でバイエルン・ミュンヘンに2-7の惨敗を喫し、プレミアリーグでブライトンに0-3の苦杯を嘗めたのは、メンタルな部分が大きく影響しているね。

今回の一件で、エリクセンを裏切者みたいにとらえている選手もいるんじゃない? 針のムシロじゃん。彼にすべての責任があるわけじゃないといっても、人間関係の修復は難しい。ほんの少しでもこじれると、そう簡単には元に戻せないんだな。読者のみなさんも経験あるでしょ。

トッテナムの指揮官として6年目のシーズンを迎えたポチェッティーノ photo/Getty Images

ポチェッティーノ、おまえもか!?

ポチェッティーノ監督も反感を買っている。エリック・ダイアー、トビー・アルデルヴァイレルト、ダニー・ローズが他クラブに興味を示したときに冷遇しながら、本人はどうなのよ!? 昨シーズン終了直前、「ヨーロッパを制したらクラブを去るかもしれない」とか言っていたでしょ。多くの選手が呆れ、監督を疑いはじめた。

それでもレヴィ会長は、ポチェッティーノ監督を支持している。4シーズン連続でCLの出場権を獲得し、昨シーズンはこの大会のファイナリストにもなっているから、非は選手にあるとでも考えているのかな。いやいや、レヴィ会長は冷徹なビジネスマンだ。マドリードを牛耳る、口八丁手八丁のフロレンティーノ・ペレス会長に、「もう二度とビジネスしたくない」とまで言わせた人だから、内心をまだ明かさないだけだ。「ポチェッティーノ、おまえもか!?」って、はらわたが煮えくり返っていると思うよ。

CL決勝からわずか4か月で、トッテナムは内側からガタガタと崩れはじめた。9節のリヴァプール戦も1-2の僅差だったけれど、ありとあらゆるデータでヨーロッパ・チャンピオンを下まわっている。移籍市場が再開する来年1月、今度こそエリクセンは離れていく。ポチェッティーノ監督の立場も微妙になってきた。とにかく、残りたくない者は無理して引き留めない方がいいだろうね。

あなたさまが行きたいところへ、どうぞどうぞ。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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