[水沼貴史の欧蹴爛漫013]リヴァプールがCLを制するためには……

中盤の選手による動き直しがポイントです

中盤の選手による動き直しがポイントです

王者レアルに挑むリヴァプールの面々 photo/Getty Images

水沼貴史です。欧州5大リーグの全てで優勝チームが決定し、今季もいよいよフィナーレを迎えようとしていますね。今回は26日に行われるUEFAチャンピオンズリーグの決勝、レアル・マドリード対リヴァプールの一戦についてお話しします。大会史上初(※編注:前身大会を除く)の3連覇を目論むレアル・マドリードに対し、11シーズンぶりに決勝に駒を進めたリヴァプールがどのように挑むべきかという視点でお届けしましょう。

まず、レアル側がどんな守備を行うかがこの試合のポイントになりますが、私は彼らがハイプレスを仕掛けてくると予想します。リヴァプールのセンターバック(フィルジル・ファン・ダイク、デヤン・ロヴレン)の足下の技術は高くなく、前線や中盤へのパスが覚束ない場面も見受けられます。準決勝でもハイプレスを敢行し、バイエルン・ミュンヘンのビルドアップを空転させたレアルの面々ですから、リヴァプール相手にも同様の戦い方を選択するでしょう。

では、リヴァプールはレアルのハイプレスを掻い潜るために、何をすべきなのでしょうか。自分たちがボールを持った時に心がけるべきなのは、ワンタッチパスを駆使することです。ボールホルダーに複数の相手選手が寄ってくると思いますので、ワンタッチパスを使って空いているスペースにボールを逃がせば、中盤や前線で数的優位を作れます。この戦い方を実現するには、中盤の選手による絶え間ない動き直しが欠かせません。ジョーダン・ヘンダーソン、ジェイムズ・ミルナー、ジョルジニオ・ワイナルドゥムといった面々がより多くのパスコースを作り、後方からのビルドアップを支援できるか。この点が勝負の分かれ目となるはずです。
リヴァプールの3トップ(モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ)もハイプレスを得意としているので、中盤の選手による動き直しが重要なのはレアル側も同じです。ルカ・モドリッチ、トニ・クロースなどが空いているスペースでボールを受け、ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドのうちの誰かにボールを供給できれば、決定機を演出できます。強力な3トップを擁するチーム同士の対決ですので、この試合をご覧になる皆さんには、どちらのチームが中盤の運動量やパスコース作りで勝り、最前線により多くボールを届けられるかに注目してほしいですね。私としては、壮絶な打ち合いを期待したいところなのですが!

ではでは、また次回お会いしましょう!

※UEFAチャンピオンズリーグの決勝、レアル・マドリード対リヴァプールの一戦は27日(日本時間)の早朝3時45分にキックオフ!


水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。




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