今のバイエルンは若手を起用できていない ブンデス制覇も、監督コンパニに求められる次の課題「長く留まりたいなら、若手を育てる必要が」

昨季はブンデス制覇を成し遂げたコンパニ・バイエルン photo/Getty Images

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今夏にはアズヌーもエヴァートンへ手放した

昨季はブンデスリーガのタイトルを取り戻すことに成功し、バイエルン指揮官ヴァンサン・コンパニは一定の評価を得ている。しかし、物足りないところもある。

それが若手の育成だ。コンパニ1人の問題ではないが、近年はアカデミーからトップチームに引き上げられる選手が減っていると言われているのだ。

独『Sport1』のシュテファン・クンベルガー記者は、バイエルンのフロントが若手の出場時間に不満があると伝えている。
「バイエルンの首脳陣は若手がトップチームで試されていないことに不満を抱いている。彼らはアカデミーをトップチームのために機能させるべきと考えているが、現在では他クラブの代理人やスカウトがバイエルンのU-19チームの選手を補強ターゲットにしているのだ。彼らはバイエルンで出番を得られそうにない優秀な若手が複数いることを知っており、そのチャンスを利用したいと考えているのだ」

今夏の動きで象徴的だったのは、左サイドバックを本職としてきた19歳DFアダム・アズヌーのエヴァートン移籍だろう。バルセロナのアカデミーを経て、アズヌーは2022年にバイエルンのアカデミーに移籍している。そこからステップアップしてきたが、トップチームで出番確保とはならず。

現在バイエルンの左サイドバックでは伊藤洋輝、アルフォンソ・デイビスが負傷離脱しているため、アズヌーにチャンスを与えてもいいのではとの声もあった。しかしアズヌーはエヴァートンへ完全移籍することになった。

他には19歳MFアリジョン・イブラヒモビッチはハイデンハイムにレンタル移籍することになり、20歳のFWガブリエウ・ヴィドビッチもアカデミー出身ながら今夏ディナモ・ザグレブへ完全移籍することになった。

またアカデミー出身者ではないが、トップチームの戦力候補と考えられてきたFWマティス・テルはトッテナムへ、FWブライアン・サラゴサもほとんど試さないままセルタへ買取義務付きのレンタルに出すなど、若手が出番を掴めていない。

独『Bild』によると、クラブOBで解説を務めるディートマー・ハマン氏は、コンパニがバイエルンに長く留まりたいならば若手の育成が不可欠との考えを示している。

「コンパニが長期的にチームに留まるつもりがあるかどうか。もし長くチームに留まりたいなら、若手を育てる必要がある。他に方法はないし、これはクラブが検討すべき問題だ。トラパットーニやファン・ハールなど、バイエルンが一時代を築くたびに若手をプレイさせてきた。それから2、3年後にCL優勝を果たした事例もある」

現在チームの攻撃はFWハリー・ケインを軸に上手く機能しており、今夏にはリヴァプールからFWルイス・ディアスも加えた。しかしケインは32歳、ディアスも28歳と若手ではない。ジャマール・ムシアラやマイケル・オリーセといった選手は若いが、全体的に若手が不足しているのは確かか。

バイエルンのように国内リーグ優勝が義務付けられているクラブが若手を積極的に起用するのは難しいところもあるが、コンパニはそこを上手くコントロールしていく必要がある。若手育成が進まないとなれば、コンパニが長期政権を築くのは難しそうだ。



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