[特集/EL&CL新時代 02]ビッグマッチ増加で興奮度120% リーグフェーズはこの試合を観よ!

今季から施行されているリーグフェーズ方式のみどころは、ビッグクラブ同士の激突が最初から行われるところだ。

36チームをポット1~4に分け、各ポット2試合ずつの計8試合を行う。そして1~8位がノックアウトステージにストレートイン。9~24位はノックアウトステージ進出をかけたプレイオフへ進む。

そして、これまでのグループステージ方式ではポット1同士の対戦はなかったが、今季からのリーグフェーズ方式ではポット1のチームもポット1のチームと2試合を戦うことにもなった(同国同士の対戦はなし)。試合が増えたこともそうだが、ここが従来までとの大きな違いだろう。その結果、ビッグクラブ同士の対戦が今まで以上に多く見られるようになったわけだ。

そこで、今回はリーグフェーズにおける注目の対戦カードを紹介していく。

従来の方式より先が読みにくくスリリングなリーグフェーズ

従来の方式より先が読みにくくスリリングなリーグフェーズ

左からインテルのL・マルティネス、バイエルンのケイン、マンCのハーランド、レアルのムバッペ photo/Getty Images

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CLではすでに第1節でマンチェスター・シティとインテルによるポット1同士の試合が行われた(0-0)。2試合を消化した時点で2勝のチームは7つ。得失点差でボルシア・ドルトムントが首位に立っている。

ちなみにドルトムントはAI予測では組み合わせで「最も得をしたチーム」だそうで、今のところそのとおりの結果になっている。第1節はクラブ・ブルージュに3-0、第2節がセルティックに7-1。ただ、まだポット1とは対戦しておらず、レアル・マドリード、バルセロナとの試合が残っている。

驚きは2位のスタッド・ブレスト。フランス国内のリーグ1では11位だが、ポット4のシュトゥルム・グラーツ(2-1)、ポット3のザルツブルク(4-0)に連勝。ブレストはポット4の最下位に位置づけられていたこともあり大健闘といえるだろう。もちろん、まだ始まったばかりで順位の変動は続くだろう。従来のグループリーグ方式に比べると先が読みにくく、そのぶんスリリングではあるが、およそ実力を反映した結果になるのではないかと言われている。

レアル×ドルトムント 昨季の決勝カードが早速実現

レアル×ドルトムント 昨季の決勝カードが早速実現

リーグ戦での怪我もあって第2節リール戦では途中出場となったムバッペ。エースの出場時間が限られた影響もあってか、レアルは敵地で0-1の敗戦を喫した photo/Getty Images

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注目のポット1同士の激突はさすがに好カードが並ぶ、ポット1対決を中心に見逃せない試合をいくつかあげてみたい。第3節ではレアル・マドリード×ドルトムント。昨季のファイナルの再現だ。

ムバッペが加入したレアルがホームでもあり有利に思われるが、ムバッペ、ヴィニシウス、ロドリゴ、ベリンガムの4人をどう組み合わせるのがベストかの調整がまだついていない。これはレアルにはよくあることなのだが、連勝スタートで勢いのあるドルトムントとこの段階で当たるのはできれば避けたかったかもしれない。ドルトムントは2試合3ゴールのギラシ、アデイェミに期待がかかる。

バルサにとって相性最悪 バイエルンの壁が再び

バルサにとって相性最悪 バイエルンの壁が再び

現在最も勢いのある若手と言っても過言ではないバルセロナのヤマル。今季ここまで公式戦5G5Aと絶好調で、第3節バイエルン戦のキーマンか photo/Getty Images

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第3節はバルセロナ×バイエルンもある。バルセロナはバイエルンとの相性が非常に悪い。

12-13シーズンの準決勝は2試合合計0-7で完敗。19-20準々決勝はコロナ禍のため一発勝負だったが2-8という歴史的大敗。21-22はグループステージで対戦して2試合とも0-3で負けている。

圧倒的なボール支配とハイプレスの循環で現代サッカーをリードしてきたバルセロナだが、自分たちの勝利の方程式を崩されると大敗する傾向がある。そしてそうなったときのバイエルンの容赦のなさは身に染みているに違いない。逆にバイエルンに勝った08-09、14-15はCL優勝を成し遂げていて、バルセロナにとってバイエルンは試金石となる存在といえる。今季はフリック監督の下、戦術的にも進化して絶好調。苦手バイエルンを下して勢いをつけたい。

一方、バイエルンもコンパニ新監督を迎え、近年まれにみる好調を維持している。第3節にして今季の優勝候補同士の激突はリーグフェーズでなければ実現しなかった。

ポット2に入ったドイツ王者 リヴァプールにとっても侮れない

ポット2に入ったドイツ王者 リヴァプールにとっても侮れない

レヴァークーゼンを躍進させてきたシャビ・アロンソ監督は、CLでも結果を残せるか。第4節で対戦する古巣リヴァプール戦ではどのような手腕をみせるか photo/Getty Images

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第4節の最注目はリヴァプール×レヴァークーゼン。

ポット1のリヴァプールは第3節で同じくポット1のRBライプツィヒと対戦する。第4節のレヴァークーゼンはポット2ではあるが昨季のブンデスリーガ王者。さらに第5節ではレアル・マドリードと当たるので、リヴァプールにとっては力が試される3連戦になりそうだ。

アウェイに乗り込むレヴァークーゼンはシャビ・アロンソ監督の下、洗練された戦術をみせる。3バック+2ボランチでキープしながら、相手を前へ釣りだして攻め込む。この擬似カウンターの威力が抜群。5バックでがっちり守備を固めることもできる。シャドーでプレイする10番、ヴィルツは欧州で最注目の1人。俊敏でアイデアに富み、決定的なパスを出し、得点力も高い。

迎え撃つリヴァプールはスロット新監督を迎えてオランダ方式のポゼッションを加えた。後方の保持で相手を引き出しつつ、カウンターを創出するやり方はレヴァークーゼンと似ている。おそらくまだ完成には至っていないが、ルイス・ディアス、サラーの両翼を筆頭に破壊力は凄まじい。会場が「ライオンの巣穴」とも言われたアンフィールドだけに、レヴァークーゼンはがっぷり四つに組むか、やはり慎重策をとるのか。かつてリヴァプールでプレイしたシャビ・アロンソ監督の采配に注目するのも面白い。

PSGは痛恨のビッグマッチラッシュ アーセナルは実質ポット1

PSGは痛恨のビッグマッチラッシュ アーセナルは実質ポット1

第2節アーセナル戦では懲戒処分により遠征メンバーから外されたPSGのデンベレ。今後ビッグクラブとの戦いが続いていく中で、汚名を返上できるか photo/Getty Images

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最も得をしたチームがドルトムントなら、最も割を食ったチームはパリ・サンジェルマンということらしい。悲願の初優勝を目指す中、ポット1対決の相手はマンチェスター・シティ、バイエルンと確かに厳しい。さらにポット2の相手もアーセナル、アトレティコ・マドリード。気の毒なくらい組み合わせに恵まれていない。アーセナルとはすでに第2節で対戦して負けている(0-2)。

PSGは第4節でホームにアトレティコを迎える。ムバッペが去った後、エースとして期待されていたデンベレはルイス・エンリケ監督と確執が生じている様子。一方、アトレティコはアルバレス、スルロット、ギャラガーと大型補強を敢行、いずれも主力として活躍しているが第2節でベンフィカに0-4の完敗を喫していて安定感がない。プレイスタイルとしては保持のPSG、堅守速攻のアトレティコ。PSGのホームでもあり、そのままの構図になりそうだ。噛み合った好試合が期待できるだろう。

第4節インテル×アーセナルは実力的にポット1同士の試合。

チャルハノールを軸に組み立て、ラウタロ・マルティネスが決めるインテルがポット1。プレミアリーグの強豪アーセナルはポット2ではあるが、第2節ではポット1のPSGを2-0で破っているようにポット1相当の力がある。サカ、ハフェルツ、マルティネッリの3トップが強力、攻守に隙の無いモダンなプレイスタイルには定評がある。

インテルはポット2の相手がアーセナル、レヴァークーゼン、ポット4のASモナコとも対戦する。PSGほどではないが組み合わせが厳しくなったチームの1つだ。

新生ユーヴェにとって最大の難敵 優勝候補シティに食い下がれるか

新生ユーヴェにとって最大の難敵 優勝候補シティに食い下がれるか

今季からユヴェントスの新10番となったユルディズ。第1節PSV戦では貴重な先制ゴールを決めた photo/Getty Images

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第5節はリヴァプール×レアル・マドリード、バイエルン×PSG、インテル×ライプツィヒとポット1対決が多くある。

第6節はユヴェントス対マンチェスター・シティに注目したい。ポット2のユヴェントスが対戦するポット1はシティとライプツィヒ。最大の難敵がシティだが、ユヴェントスはホームで戦える。チアゴ・モッタ新監督を迎えたユヴェントスはエース、ヴラホビッチの2得点もあり、第2節でライプツィヒを3-2で下している。

フィールドを広く使ったビルドアップ、逆に狭いエリアに追い込んでいくコンパクトな守備が対照的。トップ下、サイドハーフ、ボランチで形成する五角形がボールサイドへ移動、完全なゾーンで整然と圧縮していくプレッシングが独特だ。

トップ下はこの五角形の守備ブロックに組み込まれているため、新加入のコープマイネルスが起用されている。MFならどこまでこなせる万能型だが守備力が買われているのだろう。むしろトップ下的な19歳のユルディズは左サイドハーフとしてチャンスメイクを担っている。欧州でもやや特殊なユヴェントスがシティを相手にどこまで食い下がれるかが見どころだ。

リーグフェーズの採用により最後まで熾烈な戦いが続く

リーグフェーズの採用により最後まで熾烈な戦いが続く

ソシエダはEL第5節でアヤックスと対戦。強敵相手に久保の活躍にも注目が集まる photo/Getty Images

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第6節はドルトムント対バルセロナのポット1対決も、アタランタ対レ
アルのEL王者とCL王者の対戦もある。

残り2節は8位以内のベスト16へのストレートインを狙っての熾烈な争いが予想される。第7節のPSG対シティ、ポット1に限りなく近いアトレティコ対レヴァークーゼンのポット2対決も注目。

最後の第8節、バルセロナはアタランタと対戦。昨季EL決勝で大活躍したアタランタのルックマンはバルセロナにとっても要注意だろう。

CLと同じくリーグフェーズ方式を採用しているELもレアル・ソシエダ対アヤックス(第5節)、スパーズ対ローマ(第5節)、リヨン対フランクフルト(第6節)、マンチェスター・ユナイテッド対レンジャーズ(第7節)など注目カードがある。

新たにリーグフェーズ方式を採用したことで、CLもELも今まで以上に最初から最後まで目が離せない戦いが続きそうだ。

文/西部 謙司

※ザ・ワールド2024年11月号、10月15日配信の記事より転載

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