[オフ・ザ・ピッチの流儀 #02]東口順昭(ガンバ大阪)「GKをやっている小6の息子に『あれは取れたやろ』とか言われます(笑)」

 普段、ピッチを主戦場とするサッカー選手。しかし、サッカー選手の生活はピッチの上だけではない。ピッチの外、つまり“ オフ・ザ・ピッチ”もサッカー選手にとっては大事な部分。ピッチでの活躍に注目が集まるサッカー選手たちのライフスタイルを掘り下げる不定期連載「オフ・ザ・ピッチの流儀」では、知られざるフットボーラーたちの横顔に迫る。

 第2弾は、ガンバ大阪に所属するGK東口順昭。Jリーグ屈指の実力を誇るGKの東口。長年ガンバの絶対的な守護神として君臨する同選手だが、彼のオフ・ザ・ピッチはどんな景色だろう。

流儀その1:おしゃれより家族サービスをしやすい服装を優先すべし



流儀その2:試合の前には絶対にトイレ掃除をすべし



流儀その3:寝るときはU字の大きい枕で寝るべし

カジュアルないでたちで取材に応えてくれた東口選手 photo/theWORLD

─長いシーズンが続くサッカー選手にとって、オフの時間は大事ですよね。シーズン中のオフは、サッカーから完全に離れるタイプですか?

「オフは自分のサッカーはそんなに考えへんようにはしています。ただ、悔いの残る負け方をしたときは、しばらく失点シーンなどが頭をよぎりますね。あとは息子が3人いて全員サッカーしているので、その送り迎えする時に子供のサッカーを見ています。
『こういう考え方あんのか』とか、『子供でもそういうサッカーしたらそうなるよね』とか、思いますね。子供たちのサッカーもあるのでサッカーから完全に離れることはできないんですが、いろいろな角度でサッカーを考えるようになりますね」

─お子さんたちはどのポジションをやられてるんですか?
「小6の息子はGKをしていて、小2、年中はフィールドプレイヤーをしています。小学生までは僕もFWをしていて、中学からはGK一本。僕がGK一本でやってなかったので、基本的にフィールドをできるだけやらせたいです。試合ではGKをやってもらいますが、それ以外ではフットサルなどでフィールドをさせています。サッカーは点入れてなんぼなんでね。GKももちろん面白いところもありますけど、ちょっと我慢してやらなあかんところの方が多いですよね」

─お父さんの背中を見てきたこともあって、お子さんは自分からGKをやりたいと言ったのですか?

「それももちろんあると思うんですけど、自分からGKがやりたいと言ってましたね。息子が観戦に来た試合で、失点してしまった試合の後は、家に帰った後よく話し相手になってくれますよ。『あれはGKちょっときついな』、『あれは取れたやろ』とか、
一丁前にそういう目線で話してきますね(笑)。まあ面白いですけどね。いいリフレッシュにもなりますし。ほんまに落ち込んで帰ったりした時は、『あれはもうしゃあないって』とか言ってくれますし、『ああ頑張らなあかんな』と思います。子供たちのサッカーがリフレッシュにもなりますし、モチベーションにもなってますね」

─コンディションを保つ上で、試合前後で気をつけている食べ物や、ルーティーンはありますか?

「試合の前は、絶対にトイレ掃除をします。きっかけはコレというものはないんですが、やった方がいいよって言われたので。それでやり始めたら勝ち始めて、上手いこといったんですよ。今も続けてますが、なかなか勝てない現状はありますが……。でもそういうので変えたらあかんと思って、今もやってますね。食べ物は特にないですね。ファストフードとかはもちろん食べないですが、逆に制限しないようにしていますね」

─サッカー選手は移動も大変だと思います。新幹線や飛行機など、移動の際は何をして過ごしていますか?

「ずっとゴルフにハマってて、MYGOLFというゴルフ動画をYouTubeで見てます。あとはイクパッパちゃんねるっていうG大阪のことを取り上げてくれているYouTubeも見てますよ。出演したこともありますし、面白いですよ! たしか登録者数1万人いったと思うんですよね! 結構キテますね(笑)」

─コンディションを保つ上で睡眠も大事になってくると思います。寝るときに気をつけていることはありますか?

「睡眠は確かに大事ですね。去年の誕生日に息子からもらったUの字のでっかい枕がめちゃくちゃいいんですよね。まず眠りが深くなりましたし、ずっと横向きで寝られます。上向きで寝たら、腰が痛くなるんですが、この枕やとぐっすり寝られて、スッキリ起きることもできる。通販サイトで売っている枕なので、他の選手にも勧めて、5人中3人はハマりましたね。食野(亮太郎)、髙尾(瑠)、選手じゃないけどトレーナーの人もいいって言ってます。ただめちゃくちゃ大きいから場所を取るんですけどね(笑)」

─多くの方から“見られる職業”でもあるサッカー選手。普段の服装で気をつけていることや、ファッションの好みはありますか?

「色ですね。黒か白を選ぶようにしてます。シンプルな服装が好きだし、基本は妻に決めてもらってますね。自分で選んだら基本ダサいって言われるですよね……なんでやろ(笑)。『コレいいやん!』と思って自信満々で持って帰ったら、『それあんま似合ってへんな』って言われることがあったんですよ(笑)。あとは子供の送り迎えもありますし、子供とサッカーしたりもします。だから普段の服装はモノクロで、子供といつ遊んでもいいような服装を心がけてますね」

─東口選手はG大阪で約10年間プレイしていますが、過去含めて一番好きなユニフォームはありますか? また、自分でGKのユニフォームを作るなら何色がいいですか?

「前にあったネイビーが好きですね。2018年だったかな。あれはカッコよかったですし、色が好きでした。自分で色を決められるのであれば、白なんていいですね。去年くらいにGAMBA EXPO2022で着た白のユニフォームはカッコよかったです。中学校の頃のガンバは松代(直樹)さんや都築(龍太)さんたちが在籍していた時でユニフォームが白でした。ゴリゴリあの世代なので、あの時と同じ白に憧れがあるといいますか、カッコいいなと思います」

─サッカーに関しても少し聞いていきたいと思います。サッカー人生で一番記憶に残っている試合はありますか?

「色々ありますが、万博(記念競技場)でやった2014年の川崎フロンターレとの試合(第28節1-0でG大阪が勝利)。ホームで小林悠選手のシュートを止めて、あそこでなんか優勝できるかもっていう雰囲気が出たかもしれないです。あのシュートを止めたっていうのが、めっちゃ自分の中で印象深いです。徳島との優勝が決まった試合も記憶に残ってますが、フロンターレとの試合が特に印象的ですね」

─様々なレジェンドと言われる選手たちと新潟やG大阪で一緒にプレイしてきたと思います。プロに入ってから影響を受けた選手はいますか?

「いっぱいいますね。ヤット(遠藤保仁)さんもそうやし、新潟で一緒にやった田中達也さんとか。村上佑介さん、北野(貴之)さんもですね。北野さんはいい意味で変わった人やし、熱い人。あの人のおかげで俺は変わったし、人として影響を受けました。すごい尊敬できますし、器がでかいなっていう」

─その人たちから受けた影響で今の東口選手が変わったことはありますか?

「常に自分と向き合うことですね。ベテランになって、ギャーギャー若手に言ったり、いろんな方面にパワーを発散しないように気をつけています。ヤットさんとかみんなそうでしたし、常に自分に矢印を向けて、向き合うようになりました」

─自分しかやっていない特別な取り組みや練習方法はありますか?

「できるだけ滑りやすい状況で練習しています。グローブはあえてびちょびちょに濡らすとか。『めっちゃ滑るやん』っていうくらい濡らして、滑らないようにキャッチングの練習をするんです。めっちゃ気を遣いますが、これに慣れてきたら試合でもキャッチングが怖くないです。グローブが乾いてたら少し触っても全然コース変わらないですが、濡らして滑るようにしたら、少し触っただけでコースがめっちゃ変わりますからね。試合はピッチに水撒いてて濡れてるし、実戦を意識してやってます」

─初めて聞く練習方法ですね。いつからその練習法をやるようになったのですか?

「大学の時ですかね。僕が行った福井工業大学は当時、芝生でもない、土でもない水捌けが悪いグラウンドだったんです。だからどんなグローブを使っても意味がないくらい滑る。めちゃくちゃ技術が上がりました。そんな状況で練習してたんで、そこで自ずと技術が上がったんだと思います。練習はスパイクも滑る状況でやって、グローブは試合の時も濡らす。みんなにも真似してほしいです。めちゃくちゃ技術上がるので」

─最後に東口選手のこれからについてお尋ねします。これからの目標や叶えたい夢はありますか?

「サッカー以外のライフスタイルで叶えたい夢といったら、ハワイでゴルフすることですかね(笑)。サッカーでの目標は、今年はできませんでしたが、タイトルをやっぱり獲りたいです。優勝は何回してもいいものです。まだまだ知らなかったGKの部分が見えてきましたし、もっと上手くなって、日本一のGKになりたいですね」

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)287号、11月15日配信の記事より転載

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