“4人が二桁ゴール” どこからでも点が獲れるのはアーセナルの強み 目指すべきは昨季シティの姿か

キャプテンのウーデゴーも今季15ゴール photo/Getty Images

ハーランドがいなくても点は獲れていた

勝点84の2位でプレミアリーグの22-23シーズンを締めくくったアーセナル。一時は首位を独走し19季ぶりの優勝も期待されたものの、マンチェスター・シティの圧倒的な戦力に順位を譲る結果となった。

選手層や戦い方の柔軟性、経験不足など明確な課題も見えたので、来シーズンに活かしてほしいところだが、一方で彼らならではの良さもあったことを忘れるべきではない。アーセナルは今季88得点で、これもリーグ2位の成績だが、リーグ戦で二桁以上のゴールを挙げた選手が4名おり、他にプレミアリーグでこのようなチームはない。

内訳はガブリエウ・マルティネッリとマルティン・ウーデゴーが15点、ブカヨ・サカが14点、ガブリエウ・ジェズスが11点となっており、アーリング・ハーランドが全94得点中の36点を叩き出すシティとは対照的だ。
また、ウォルバーハンプトン戦ではDFヤクブ・キヴィオルにゴールが生まれており、これで今季アーセナルは実に16名のフィールドプレイヤーがゴールを挙げたことになる。シティは今季12名、ユナイテッドは14名だ。選手の人数が多いチェルシーも16名だが、こちらは二桁ゴールを挙げた選手がひとりもいない。

選手がまんべんなく点を獲るのはアーセナルの明確な強みであるが、ここで思い出すのは昨季のシティだ。まだアーリング・ハーランドがおらず、特定のフィニッシャーを置かない戦い方でプレミアを制覇した昨季の彼らを振り返ると、二桁得点者はケビン・デ・ブライネ(15)、ラヒーム・スターリング(13)、リヤド・マフレズ(11)の3名。ほかにフィル・フォーデンが9点、ベルナルド・シウバとイルカイ・ギュンドアン、ガブリエウ・ジェズスが8点ずつ。得点者の総数は今季のアーセナルと同じく16名だった。

総得点は99点。今季は94点なので、結果的にハーランドを補強した今季よりも得点できていることになる。前線のターゲットとなれるハーランドがいる今のほうが幅広い戦い方に適応できるのは間違いないが、相手を撹乱するように前線が流動的に入れ替わる昨季の戦い方は、これはこれでひとつの完成をみていたといってもいいだろう。

シティに対抗するために戦力を整えなければならないアーセナルだが、ハーランドのような圧倒的な個の力を連れてこられないのであれば、チーム力で対抗するしかない。2列目に伸び盛りのアタッカーを揃えたアーセナルにとって、昨季のシティはひとつのロールモデルとなるだろう。

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