「若い選手にはミスを犯す権利がある」敗戦のアルベル監督、次も“成長のため”若手起用を明言

FC東京のアルベル監督 photo/Getty Images

3-0でG大阪に敗れた

「私にとってルヴァンカップは、若い選手にチャンスを与えるために重要な大会だと認識しています。若い選手を今日も多く起用しました。もちろん彼らはミスを多く犯したことでしょう。若い選手たちというのはミスを犯す権利があると思います。若い選手たちのミスによってボールを奪われ、そして相手のカウンターアタックを発動させてしまい、多くの失点をしてしまいました。しかし、私はこの若い選手たちを誇りに思っています。あらためて次のルヴァンカップでも同じように若い選手にチャンスを与えたいと思います」

 FC東京のアルベル監督は試合後のインタビューでこう話した。ヨーロッパでは半ば常識となっているカップ戦に挑むスタンスを強調した。先発メンバーに21歳以下の選手は5人。完全にフルメンバーで試合に臨んだG大阪に対して、FC東京は徹底して若い選手、あるいはリーグ戦から遠ざかっている選手を起用し続けている。これは良し悪しではなく、チームの置かれた状況も関係している。リーグ戦で未だ勝ちのないG大阪はチーム状況を改善するため、どうしてもメンバーを固定して戦う必要があった。当然この試合の両者の間にはチームとしてのポテンシャルの差が存在し、それはそのままチームパフォーマンスにあらわれた。

「FW熊田が将来性の豊かな若い選手として注目を浴びています。彼が素晴らしい選手に育つにはやはり多くのチャンスを与えないといけないと思います」(アルベル監督)
名指しされた熊田本人は「チームとして完敗でした。強度とか、技術だったりというものが相手のほうがレベルが上でした。ボールを持った時のポゼッションをもっと上げないといけませんけど、自分としては五分五分のボールとかクサビのボールもすべて収めれば、チームとして時間を作れたと思います」。

終始固い表情での受け答えだったが、こんな言葉も。

「手応えは結構あったので、次はどんな状況でもチームを勝たせられるように頑張っていきたいです」

また3月8日のルヴァン杯のC大阪戦では16歳でデビューし、この試合がプロ2試合目だったMF佐藤も話してくれた。

「悔しいです。前半は守備で後手に回って結構きつい時間帯が多かったですが、自分は守備のところで穴をあけられなかったのが唯一良かったかなと思います」

「守備の時間が多くて、体力も削られ、攻撃のクオリティをまったく出せませんでした。体力が足りません。ハーフタイムで修正して後半は改善できたとは思いますが、前半の間でコミュニケーションとって改善できれば内容も変わったと思います」

 「(勝敗に関係なく試合に出たことは)無駄にならない時間だと思いますし、今日出た時間も次につながる時間だと思います。ミスがないと成長できないと監督もいっているので、そういう面では無駄にならない時間だと思います。日曜日ユースの試合にいくのか、このメンバーに入るのか分かりませんが、常にJのメンバーを狙いながらユースの試合でも同じ姿勢で取り組みたいと思います」

若い選手のミスを許容する指導者。そして才能豊かな若い選手。ここから将来の日本サッカーを担う選手が台頭することを期待したい。

文/吉村 憲文

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