昨季は9位でシーズンを終えたシント・トロイデン。序盤は勝てず連敗が続いたが、後半戦は選手と戦術が噛み合い、9戦無敗の好成績でシーズンを終えている。プレイオフに参加することはできなかったが、来季に向けてチームが良い状態になったことは間違いない。
昨季はアラベスからローンで加入していた原大智の活躍が目立った。191cmの長身を持つFWで、8ゴール2アシストと得点源となっている。そんな原をパスで操っていたのが、33歳のクリスティアン・ブルースだ。正確でアイデアのあるパスを出せるチャンスメイカーで、33歳とは思えない運動量を持つモダンなトップ下だ。守備でも献身的な姿勢を見せており、昨季は7ゴール7アシストの数字を残した。
ベルギーメディア『WALFOOT』によるとそんなブルースが今夏で退団する可能性があるようだ。報道によるとブルースとシント・トロイデンは契約延長の交渉を行っていたが、上手く互いの意見をまとめることができず、進展がないという。同じくベルギーリーグのスタンダール・リエージュが興味を示しており、チームの得点源が去ることも考えなければならない。
だが、香川真司にとってこの状況は好都合かもしれない。昨季の冬の移籍市場で加わった香川だが、コンディションの問題もあって21-22シーズンは6試合しかプレイしていない。またブルースとはスタイルが似ており、香川が来季継続してピッチに立つには越えなければならない壁ともいえる。
シント・トロイデンは[3-5-2]を採用しており、ブルースと香川が起用されるとすればインサイドハーフになる。昨季はブルースがこのポジションでは不動であり、片方のインサイドハーフはディミトリ・ラヴァレーやロッコ・ライツらが起用されるなどこれといった絶対的な選手はいなかった。そのため最終節には香川とブルースが同時起用が試されており、3-0の快勝と好感触を残してシーズンを終えている。
守備強度など気になる点は多いが、香川とブルースの共存が来季シント・トロイデン躍進のカギだとすればブルースの去就は重要になる。香川復活のためには継続したプレイタイムが必要であり、ブルースが退団すれば香川が1番手に躍り出ることになる。しかし彼が退団することで攻撃力が低下する可能性もあり、このブルースの去就はチームの今後を左右するものになるだろう。