それを極めるという手もあるが
シャビ・エルナンデスが就任してから時間もたち、安定して白星を重ねられるようになっているバルセロナ。直近の公式戦では7戦無敗であり、以前の強さを取り戻しつつある。リーグ戦でもCL出場権を獲得できる4位まで上がってきており、リーグタイトル争いに絡むのは難しいかも知れないが、上位でのフィニッシュは現実的な話となってきた。
そんなバルセロナだが、冬の移籍市場で加わった新加入組の活躍が目立つ。特にピエール・エメリク・オバメヤンはすでにゴールを量産しており、頼れるストライカーとして躍動している。
しかし、ウルブズからやってきたアダマ・トラオレはどうか。バルセロナの下部組織出身で、この冬に古巣に戻ってくることになったスペイン代表FW。初戦となったアトレティコ・マドリード戦では右サイドから何度もクロスで好機を演出しており、1アシストを記録。その後もアシストを積み上げ、リーグ戦やELでの数字を合算すれば4アシストになっている。
加入間もない選手でこれだけのパフォーマンスを披露できるのは素晴らしいが、ここからどのように成長するのか予想できない点が心配である。
彼の強みは推進力のあるドリブルとそこからのクロスだ。そのため、右サイドで起用されれば大外でボールを受け、縦に突破しクロスを供給する。この流れが基本であり、4-0で勝利したアスレティック・ビルバオ戦でもこのシーンが見られている。アトレティコにも通用した切れ味十分のドリブルだが、パターンをすでに読まれているのか、クロスを防がれるシーンが散見されている。データサイト『SofaScore』によれば、クロスは7本中2本しか味方に通っていない。そのため、縦ではなく中にカットインするシーンも見られたが逆足である左で怖さを見せられる場面はなかった。
サイドアタッカーということもあり、どうしてもウスマン・デンベレと比較してしまう。彼は両足で同じような精度のボールを蹴れるためプレイのバリエーションが豊富で、アスレティック戦では短いプレイタイムで1ゴール2アシストを記録している。デンベレはサイドアタッカーの理想形のような存在だが、現状のトラオレには彼のような器用な選手になれる未来は見えない。シーズン終了後までの期限付き移籍であり、バルセロナは彼をどのように考えているのだろうか。