リーグ・アンは楽な環境ではない
欧州5大リーグの中において、フランスのリーグ・アンは最もレベルが劣ると考えられているのではないか。実質チャンピオンズリーグで優勝を狙えるのはパリ・サンジェルマンくらいで、ワールドクラスのタレントも限られている。
しかし、リーグ・アンは決して楽な環境ではない。今夏にはFWリオネル・メッシがパリへ向かったが、リーグ・アン独特の難しさを痛感している頃ではないだろうか。
仏『PSG TV』によると、パリのFWキリアン・ムバッペはリーグ・アンが非常にフィジカルコンタクトの激しいリーグだと語っている。
「ここにはクレイジーと思える激しさがある。すべての選手が激しいフィジカルコンタクトの準備をしているんだ。これは簡単なことではないよ」
アタッカーとしては厄介だろう。実際、フランスのクラブは守備面でかなりアグレッシブだ。
他リーグとは試合数に若干の差があるものの、現在リーグ・アンにはチームの総タックル数が300回に達しているチームが7つもある。
最多のモナコ(370回)、サンテティエンヌ(326回)、ナント(326回)、リール(322回)、アンジェ(318回)、ストラスブール(302回)、メス(300回)の7チームだ。
対して、セリエA、プレミア、ブンデス でチームの総タックル数が300を超えているチームは1つもない。リーガにて唯一セルタが300回に達しているだけだ。
1試合平均で見ても、モナコの21.8回は5大リーグで最多だ。サンテティエンヌは19.2回だが、他リーグでこれを超えるのはイングランドのリーズ・ユナイテッド(19.5回)のみ。
セリエA最多はジェノア(17.5回)、ブンデス最多はフランクフルト(17.1回)、リーガ最多はカディス(18.4回)となっているが、リーグ・アンではリール(18.9回)、アンジェ(18.7回)、ナント(18.1回)と、セリエAやブンデスの最多を超えてくるチームもある。
フランスには身体能力の高い若手も多く、彼らは超がつくほどアグレッシブだ。メッシが国内で苦戦する理由の1つがここにあるのかもしれない。技術面や戦術面ではプレミアやブンデスの方が上だろうが、リーグ・アンが簡単というわけではない。特に全クラブから標的とされるパリの攻撃陣は相手が仕掛けてくるハードなタックルに恐怖心を感じるところもあるだろう。