トゥヘル・チェルシーでは輝けない? 技巧派レフティーが迎えた試練のとき

トゥヘル・チェルシーで難しい立場に置かれているツィエク photo/Getty Images

ユヴェントス戦で見えた問題点は少なくない

その左足の精度を存分に活かすことができれば話は変わってくるはずだが、今のチェルシーに彼の居場所はないのか。昨季途中から就任したトーマス・トゥヘル監督の下では、DFマルコス・アロンソやDFアントニオ・リュディガーを筆頭に複数の選手が評価を回復した同クラブ。しかし、その一方ではトゥヘル政権以降になかなか良いパフォーマンスを発揮できなくなってしまった選手もいる。

その筆頭格として挙げることができるのは、MFハキム・ツィエクだろう。アヤックスやフランク・ランパード前政権下でこそ輝きを放っていた同選手だが、トゥヘル・チェルシーでの存在感は希薄。決して出場時間がないわけではないのだが、そのプレイぶりは低調と言わざるを得ないだろう。

そんなツィエクだが、やはり彼は今後もトゥヘル監督が率いるチェルシーには適合できないのか。そう考えられる原因の一端は、現地時間29日に行われたチャンピオンズリーグ・グループステージのユヴェントス戦でも垣間見えた。この試合に2シャドーの一角として先発出場を果たした同選手だが、ガッチリと自陣にブロックを作るユヴェントス守備陣をこじ開けることはできず。味方が速攻を仕掛けようとしている場面でもポジションを下げてボールに触りたがる傾向が見て取れ、ブルーズが仕掛ける攻撃のスピードを落としていた印象は否めない。ボールを受けた後にターンして前を向こうとする動きもほとんど見られず、最終的にはほぼインパクトを残せぬまま62分に途中交代を強いられることとなっている。
加えて、このユヴェントス戦では左ウイングバックに入ったM・アロンソとの相性の悪さも見えてしまった。この試合でツィエクは同選手がボールを保持しながら持ち上がった際、前向きのランニングで中央にスペースを作る動きを何度か見せたのだが、M・アロンソは縦への推進力が魅力の選手。加えて、右足の精度もそれほど高くないとあって、仮にツィエクが空けたスペースにカットインしてもプレイの選択肢は狭まってしまう。そういった部分でM・アロンソとプレイエリアが被っていた印象は強い。トゥヘル政権下で重宝される左WBとの相性がイマイチというのは、出場機会増加に向けて致命的と言えるかもしれない。

今季のチェルシー攻撃陣はルカクを中心として回っていくはずで、そのなかでカギとなるのは“いかに彼にボールを当てて周囲の選手がそのサポートに入れるか”だ。そのタスクをこなせる選手が求められているなかで、ボールを貰いに前線を離れてしまうツィエクが生き残っていくのは厳しいか。一発で局面を打開する左足のキックは魅力的なだけに、ツィエクの逆襲には期待したいところだが、その結末はいかに。

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