はたして、今夏ジョゼ・モウリーニョ監督を招聘することに成功したASローマは、今後どこまで高みを目指すことができるのか。クラブが求めているのは長期的な強さを取り戻すこと。ユヴェントスの絶対王政が崩れた今、スクデット獲得のチャンスは広がった。来季いきなり戴冠というのは難しいかもしれないないが、時間をかけてそれを狙える位置にはつけるようになりたいところだ。
しかし、モウリーニョの下でローマが安定的な強さを手に入れることはないのかもしれない。実は同監督、これまで指揮したチームにおいて優勝を掴み取ったのは、そのほとんどが就任2シーズン目まで。3シーズン目以降にリーグ戦優勝を成し遂げたのは、ポルト3年目の2003-04シーズンのみだ。
こうした成績を見てみると、モウリーニョはある程度地力のあるチームにスイッチを入れるのが上手い監督と言えるか。そういったキャラクターを考えてみると、現時点でそれほど戦力の整っていないローマにはあまり向いていない指揮官かもしれない。
加えて、近頃は時間が経過するほどにチームとの問題が発生している印象も強いモウリーニョ。あまり彼に長期的な期待はかけられない。そんな不安を抱いているファンも少なからずいるだろうか。優秀な人材を招聘することに成功したはいいものの、ロマニスタには一抹の不安が頭をよぎる。
「モウリーニョが優秀な監督であることは間違いない。だが、彼は短期的な指揮官だと思う。最初の1シーズンと次のシーズンは上手くいくんだが、彼のチームには3シーズン目に問題が発生することが多い。私にその理由はわからないけどね。1年目は優秀、2年目は良い、3年目は問題。そんな法則があるように思うよ。私は彼と一緒に仕事をしたことがあるし、とてもリスペクトしているのは間違いない。いつもパーフェクトだった。でも、再建を目指す今のローマに適任かは、正直疑問が残ってしまうね。もちろん、その法則を打ち破ってほしいとは思っているけれど」(伊『Gazzetta dello Sport』より)
かつてローマを指揮したスヴェン・ゴラン・エリクソン氏も、モウリーニョ監督についてはこのように語っている。今後は長期的な目線でチームの再建に乗り出したいローマだが、モウリーニョのキャラクターはそんな目標とはイマイチ噛み合っていないのか。この不安が杞憂に終わればいいのだが、はたして“モウリーニョ・ローマ”の結末はいかに。