“偽9番”で躍動のハフェルツ ついに導き出されたドイツの至宝の活用法

最前線で新境地を見せたハフェルツ(右) photo/Getty Images

エヴァートン戦で2得点に絡む活躍

チェルシーは現地時間3月8日に行われたプレミアリーグ第27節でエヴァートン相手に2-0で勝利を収めた。来季の欧州チャンピオンズリーグ出場権を争う上位対決で主役となったのが、MFカイ・ハフェルツである。

今季レヴァークーゼンから鳴り物入りでチェルシーに加入したドイツ代表MFだが、ここまでのシーズンで大きなインパクトを残せずにいた。プレミアリーグへの適応に苦しんでいたこともあり、先発メンバーに名を連ねることも減ってきていた。

しかし、エヴァートン戦でティモ・ヴェルナー、カラム・ハドソン・オドイとともに前線に配置されたハフェルツは、“偽9番”の立ち位置で躍動する。前半31分にマルコス・アロンソからのクロスに合わせ相手のオウンゴールを誘発すると、後半18分には抜け出したところでジョーダン・ピックフォードと交錯しファウルを受ける。ジョルジーニョのペナルティキックが決まり試合は決した。
前任者のフランク・ランパード時代から試行錯誤が続いていたのがハフェルツのポジション配置。ランパードは開幕以降、このドイツ代表MFをトップ下やサイドハーフ、最前線で起用するなどに様々なトライを行ってきた。上背があり左利きで、足元の技術にも長けるその“特異性”をチェルシーでどのように活かすのかはトーマス・トゥヘルにも求められた。

そんな中でこの日起用された偽9番の立ち位置で、ハフェルツは中盤まで下がりボールを引き出し周りを活かしつつ、時には自身で前線に空いたスペースに走り込みゴールを積極的に狙う姿勢を見せた。ヴェルナー、ハドソン・オドイ、途中交代で入ったメイソン・マウントなどとの補完性もよく、中盤と前線のタレントをつなぐリンクマンとしても機能することを証明した。

これまでチェルシーの前線はタミー・エイブラハムやオリヴィエ・ジルーといったボックスストライカーが務めることが多かった。体格を活かしながらのポストプレイやクロスに飛び込んでのヘディングなど、いわゆるセンターフォワードとして得点に絡むプレイを彼らは得意としている。一方でトップ下タイプのハフェルツはボールに触ることでリズムを作るタイプで、9番の位置に入ることでエイブラハムやジルーとは違った効果をチームにもたらすことができる。

ほかにもクリスティアン・プリシッチやハキム・ツィエクらアタッカーに多くのタレントを抱えるチェルシーの中で、トゥヘルがハフェルツがどのように使いこなしていくのか。躍動したエヴァートン戦の印象的なパフォーマンスはドイツ人指揮官の脳裏に焼き付いたはずで、新たなオプションとして計算できる手応えを掴んだのではないだろうか。

今季期待されて加入しながら苦しいシーズンを送っていたハフェルツだが、エヴァートン戦でその才能を覗かせる働きを見せた。同じドイツ人であるトゥヘルという理解者の元で、どのように存在感を放っていくのか注目したいところだ。

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