日本の万能戦士は昨季の自分を超える “37歳”でも衰えぬ安定感

フランクフルトの守備を支える長谷部 photo/Getty Images

中盤の仕事に適応

37歳になっても重要性は変わらない。フランクフルトで元日本代表MF長谷部誠の活躍が続いている。

特徴的なのは、年明けから続いているボランチ起用だ。昨季まで長谷部はフランクフルトにとって不動のリベロであり、3バックの真ん中からチームを統率する役割を任されていた。ベテランプレイヤーとなった長谷部にとってリベロこそ生きる道と思われたのだが、年明けからは守備的MFとしてチームに大きく貢献している。

元より長谷部は中盤を本職とする選手だったが、それにしても切り替えがスムーズだった。リベロとは異なる役割を理解し、中盤の守護者として汗をかき続けている。数字で見ても、今季の長谷部はアグレッシブだ。
1試合平均タックル数は昨季の1.2回から1.6回へと増加し、1試合平均インターセプト数も昨季の1.1回から1.3回へと増えている。より中盤で体を張る機会が多くなり、そこできっちりと仕事をこなしていることが増加の理由だろう。

昨季はリーグ戦23試合に出場し、プレイタイムは1967分。対して今季はベンチに座っていた時期もあったため、現段階で1353分間のプレイに留まっている。時間にすると600分ほど差があるわけだが、それでもインターセプト数は昨季の26回に迫る21回を記録。タックル数も昨季の28回に対し、今季は早くも25回だ。インターセプト数とタックル数の両方で昨季を超えるのは確実だ。

また、クリア数はすでに昨季の34回を超えて44回を記録している。最終ラインからチームをまとめる役割も出来れば、中盤でハードに戦うことも出来る。これこそ長谷部が万能守備職人として指揮官アディ・ヒュッターから頼られる理由か。

チームも長谷部のボランチ起用から成績が上向いており、2021年に入ってからはリーグ戦で6勝1分と絶好調だ。FWルカ・ヨビッチの加入も大きく、欧州カップ戦出場権獲得へ先行きは明るい。

年齢だけを見れば長谷部に衰えを感じてもおかしくないが、パフォーマンスに変化は見られない。フランクフルトにとって長谷部は欠かすことの出来ないキーマンであり続けている(データは『WhoScored.com』より)。

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