危険なストライカーに現世界最高級パサーまで 今夏の“No.1補強”はどれだ
アトレティコへ加わったスアレス photo/Getty Images
最も期待が大きかったのは
今夏も移籍市場で数名の大物プレイヤーに動きがあったが、現時点で「今夏最高の補強」を決めるならば誰になるだろうか。
まだ新天地でプレイしていない選手も多いため、現段階でのNo.1を決めるのは難しいだろう。ただ、誰が1番期待されているのかは分かる。
重要なのは選手の能力、そしてクラブが支払った移籍金額だ。安価で優秀な選手を獲得するのがベストな道であり、高額な移籍金が飛び交う現代だからこそ価格を抑えた引き抜きは目につく。
スペイン『MARCA』ではアナリストのフリオ・マルディーニ・マルドナード氏がベスト補強候補10名をリストアップしているが、アンケートの結果最も人気が高かったのはアトレティコ・マドリードがバルセロナから獲得したFWルイス・スアレスだ。
スアレスには最多となる32%もの票が入っており、現段階ではスアレスこそ今夏のベスト補強と考えられている。何よりアトレティコが支払う金額は約600万ユーロとなっているため、価格的に非常にお得だ。
33歳になっているとはいえ、スアレスの経験と得点力は大きなプラスになる。さっそく開幕節のグラナダ戦では2得点を挙げており、アトレティコに2013-14シーズン以来のリーグタイトルを運んできてくれる英雄となる可能性がある。
ディエゴ・シメオネの築いた自慢の守備と、スアレスの得点力。これがアトレティコのカギだ。
2番目に票が多かったのは、リヴァプールがバイエルンから獲得したMFチアゴ・アルカンタラで24%。昨季バイエルンの3冠に大きく貢献したチアゴをたった2200万ユーロで獲得できたのは大きい。
さっそくプレミアの舞台でも圧巻のテクニックを披露しており、リヴァプールの攻撃レベルが一段上がるのは間違いない。現世界最高クラスのゲームメイカーを引き抜いたリヴァプールの攻撃がどう変わっていくのか非常に楽しみだ。
アタランタに加わったラマース photo/Getty Images
3番人気はインテルが獲得したDFアクラフ・ハキミと、バイエルンが獲得したFWレロイ・サネが13%で並んでいる。
ハキミの方はすでにインテルに欠かせぬ戦力となっており、右サイドを疾走する爆発的なスピードにサポーターもメロメロだ。明らかに右サイドの攻撃力は強化され、アントニオ・コンテ率いるインテルの攻撃は迫力が増した。
攻撃力だけならば現世界最高のウイングバックと言っても大袈裟ではなく、スクデットへのカギを握る人物だ。
サネの方はいきなり怪我をしてしまったのが残念だった。ただし開幕節のシャルケ戦で得点を記録するなど、コンディションが整っていれば戦力になることが証明されている。セルジュ・ニャブリとのドイツ代表コンビはバイエルンの新たな顔でもあり、上手くいけばアリエン・ロッベンとフランク・リベリの穴が今季で完全に埋まる可能性がある。それだけに期待は大きい。
それに続くのはチェルシーが獲得したFWティモ・ヴェルナーで8%だ。こちらは起用法次第だろう。センターフォワード、ウイングのどちらがベストを引き出せるのか決まったわけではなく、指揮官フランク・ランパードも試行錯誤の途中といったところか。
チェルシーが思うような結果を出せていないため、現段階でヴェルナーをベスト補強に推すのは難しい。いきなりプレミア得点王を争えるなんて期待もあったが、ヴェルナーが加速してくるのはいつになるのか。5300万ユーロもの移籍金が動いているだけに、なるべく早いところで結果を出したい。
また今回のリストには、まだ有名になりきっていない者も2人含まれている。1人はフランスのリールがアンデルレヒトから獲得した18歳のベルギー代表FWジェレミー・ドクだ。
18歳ながら移籍金は2600万ユーロとなかなか高額で、ベルギーサッカー界のNEXTスター候補だ。すでにA代表でプレイしていることが期待の大きさを表しており、リールでブレイクした後に欧州五大リーグへ向かうのが理想的なシナリオとなる。
もう1人はアタランタがPSVから獲得した23歳の大型FWサム・ラマース。エールディヴィジでは51試合に出場して20得点とまずまずの成績を残しており、アタランタでも4日のカリアリ戦でさっそくゴールを決めてみせた。
オランダの世代別代表でもプレイしてきた189cmものサイズを誇るストライカーで、セリエA屈指の攻撃集団であるアタランタが目をつけたところは興味深い。アタランタのスタイルにフィットすれば、1年目からのゴール量産も不可能ではないか。
上手くいけば来夏のEURO2020へオランダ代表滑り込みなんてこともあるかもしれない。アタランタの新たなゴールゲッター候補として注目する価値はあるだろう。