[MIXゾーン]打ち合いになった神戸×柏 双方にとって勝点以上に重要な意味とは

技術の高いプレイを見せるマテウス・サヴィオ photo/Getty Images

両チームともに、狙いは定まっている

 前節を終わってホームの神戸は勝ち点13(9位)、一方アウェイの柏は16(7位)。首位をいく川崎が抜けてはいるものの2位以下のグループは勝ち点が詰まっている。自らが上位にジャンプアップすることとライバルを引きずり下ろす、両チームにとって非常に大切な試合である。ただこの重要な試合はキックオフ直後立て続けに不測の事態に直面する。

 最初は約2分のところで神戸のMFイニエスタが、更にその数分後に柏のFWオルンガが、相次いでピッチに倒れ込む。オルンガに問題はなかったが、イニエスタは一旦ピッチに戻ったものの、結局22分の時点でピッチを後にせざるを得なかった。神戸に更に不運だったのはCBフェルマーレンが29分に自らベンチに下がることになった。いくら選手交代が5人まで認められているとはいえ、替えの利かない外国人選手がピッチを後にすることの代償は大きい。同時に殺人的ともいわれる暑さ、しかも連戦である。交代カードの切り方が非常に重要になることは分かっているだけに、こうした不測の事態はチームを苦境に立たせるものだ。

 ただそうでありながら、神戸はゲームをやや押し気味の形で動かした。特に右サイドは柏の対面を押し込むことで主導権を奪った。

「前半の戦い方が良くなく、しっかりとスタンダードをプレイしようと入ったが、どうしても守備のラインが低くなる時間が続きました」(柏ネルシーニョ監督)

 神戸のフィンク監督もケガ人は出たものの、チーム自体の戦い方には「私のチームは前へ行く姿勢も良かったですし、戦う姿勢というのも素晴らしかったと思います」と合格点を与えた。

 神戸優勢の中で迎えた前半45分には右サイドのハーフウェイライン付近のスローインから、FWドウグラスが頭でつないで、これを右サイドハーフの小田がドリブルで独走。ボックスの中でマイナスのボールを折り返すと、これをドウグラスがスルーし、逆サイドから走り込んだ郷家が見事にゴールネットを揺らして見せた。まさに電光石火。特に頭でボールを繋いだ後に、ゴール前まで走り込んで、敢えてスルーを選んだドウグラスのプレイは見事としかいいようがない。点取り屋がエゴを捨て黒子に徹したことでこのゴールは生まれた。

 ただこのリードもハーフタイムを挟んで状況は一変する。ネルシーニョ監督は押し込まれ気味だった左サイドにテコ入れしようと、FWマテウス・サヴィオを投入。

「サヴィオを入れて、より高い位置からプレッシングを掛けていこうとした」(ネルシーニョ監督)

 まさにこれが柏の中盤を活性化させる。後半キックオフ直後数十秒で神戸がこぼれ球の処理を誤って、左サイドでサヴィオがこれを繋ぎ、オーバーラップした左SB三丸のクロスにゴール前でオルンガが潰れ、最後はMF仲間が頭で押し込んだ。神戸からすればセカンドボールの処理をもう少し的確におこなっておけば、防げたはずの失点である。

 更に77分にはオルンガが個人能力で取れば、88分にはドウグラスが取り返すという撃ち合いの展開に。最後はアディショナルタイム4分、元神戸のMF三原がゴール前に上げたクロスが、そのままゴールに吸い込まれ、ゲームに終止符は打たれた。神戸20本、柏13本のシュートが放たれたが、それ以上にゴールをどうやって奪うのかという両チームの明確な意思が感じられた試合だった。

「今日の試合は結果は残念ですが、内容はそこまで下を向いているわけではありません。沢山のチャンスを作り、攻撃的なサッカーで選手たちの意思も見られたました」(フィンク監督)

 勝利こそ手にできなかったものの、神戸は自分たちがボールを握ってゲームを動かすというスタイルは忠実にできていた。後は細部へのこだわりだろう。同時に大黒柱のイニエスタとフェルマーレンがケガをしたことで、次節以降はメンバーの入れ替えが考えられる。分厚い選手層を誇るだけに、チャンスに飢えている若手たちがどんな活躍を見せてくれるのか。

 柏から見れば的確な選手交代がゲームの流れを変えることを証明した一戦。試合を重ねるごとに、この精度は更に高まるだろう。

 勝ち点以上に双方に重要な意味を持つ試合だった。

文/吉村 憲文

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