長谷部に続く”3バックの統率者” セインツで吉田麻也がリーダーとなる時

サウサンプトンの吉田 photo/Getty Images

監督交代で巡ってきた吉田のチャンス

開幕から15試合で僅か1勝と大苦戦していたサウサンプトンは、マーク・ヒューズに代えてライプツィヒで指揮官を務めた経験を持つラルフ・ハーゼンヒュットルを招聘した。ライプツィヒといえば前線から攻撃的なプレスを仕掛けるチームとして有名で、今ではブンデスリーガの上位を毎シーズン狙える強豪へと成長した。そのチームを指揮していたハーゼンヒュットルがプレミアリーグで残留争いに巻き込まれているサウサンプトンにやってくるとの話題に驚いた人も多いだろう。

ハーゼンヒュットルがどうサウサンプトンを立て直すのか大きな注目を集めたが、ここでもハーゼンヒュットルらしさは失われていない。基本システムには[3-4-2-1]を選択しており、できる限り高い位置でボールを奪って速攻へ繋げる意識を見せている。そしてそのスタイルにおいて重要な役割を任されたのが日本代表DF吉田麻也だ。吉田は3バックの中央を任されているのだが、このシステムは吉田に合っている。吉田が得意とするインターセプトを活かせるからだ。

ハーゼンヒュットル率いるサウサンプトンは守備時に2つの顔を見せる。まず敵陣にボールがある時には、前線の3人で中央へのパスコースを切りながらプレスをかけていく。相手のビルドアップをサイドへと誘導し、サイドに出たところでウイングバックと前線で挟み込んで行く。3バックも高い位置を取っており、相手が強引に縦へパスを出してきた際には積極的にインターセプトを狙うのだ。前線からのプレスで相手のパスコースをある程度限定しているため、センターバックの選手たちもインターセプトを狙いやすい。

そしてプレスをかわされた場合にはウイングバックも最終ラインに落ちて[5-4-1]の形へと変化して守備をする。この時も中央へのコースを切るやり方は変わらない。ただ自陣に引きこもって跳ね返すだけのチームではなく、前を向いてのボール奪取を目指すのが今のサウサンプトンだ。そして相手の狙いを読み、インターセプトを仕掛けるのは吉田が得意とするプレイだ。

何より吉田は今季1試合平均3.3回のインターセプトを記録しているが、これはチームトップの数字だ。スコアレスドローに終わった2日のチェルシー戦でも吉田は何度かインターセプトを成功させており、縦パスを良い形で奪えば速攻へと繋げられる。加えて吉田はDFながら足下の技術に優れており、ボールを持つことを苦にしていない。これもハーゼンヒュットルのチームにおいて重要な能力となる。

また、サウサンプトンには中盤から前線にかけて運動量と縦への推進力を併せ持つ選手が揃っている。シャドーの位置に入るネイサン・レドモンドはドリブルも得意で、スチュアート・アームストロングも縦へ仕掛けられる選手だ。中盤ではボールを回収できるオリオウ・ロメウ、バイエルンでジョゼップ・グアルディオラの指導も受けていたピエール・エミール・ホイビュルク、パワーのあるマリオ・レミナ、彼らは相手のプレスを回避するだけの技術に加えて推進力を備えている。縦へ素早く攻撃を仕掛ける際にも貴重な戦力となっており、ハーゼンヒュットルも自身の理想とするスタイルを植え付けやすいのではないだろうか。

サウサンプトンはリーグ戦で18位に沈んでおり、降格の危険性はまだ残っている。しかし、ハーゼンヒュットルが描くサッカーは降格圏に沈むチームとは思えぬほどアグレッシブで興味深い。アーセナル、ハダースフィールドタウンには勝利も収めており、18位のチームと侮ることはできない存在となってきている。

残念ながら吉田はアジアカップに参加するため、1ヶ月ほどサウサンプトンを離れることになる。しかし、吉田の働きを考えればアジアカップ終了後もハーゼンヒュットルの下で重要な役割を任されるだろう。3バックの中央といえばフランクフルトで長谷部誠も務めており、今やブンデスリーガ最高のDFの1人とまで言われる存在となった。ハーゼンヒュットルのサッカーが浸透した時、吉田も3バックを統率する絶対的リーダーとしてプレミアトップクラスのセンターバックと評価されるかもしれない。この監督交代は吉田にとっても大きなものとなっている。

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