【特集/UCLラウンド16プレビュー 1】PSGにメッシ封じの秘策アリ!! 変則フォーメーションへの対処法 PSG×バルセロナ

中盤の厚みを増すしかない PSGのメッシ対策

中盤の厚みを増すしかない PSGのメッシ対策

PSGはメッシを止められるのか photo/Getty Images

パリ・サンジェルマンとバルセロナはよく似ている。ハイレベルの選手が揃っていて、技巧的にパスをつないで攻撃する。パスワークの上手さで、PSGはすでにバルセロナに比肩しうるレベルに到達した。ただ、2つのチームは似ているけれども同じではない。

最大の違いは決定力だ 。バルセロナにはMSN(メッシ、スアレス、ネイマール)がいる。PSGのディ・マリア、カバーニ、ルーカスのアタックラインも豪華ではあるが、MSNの得点力には及ばない。まともに攻め合えば、チャンスの数が同じでも決定力の差でバルセロナが勝つだろう。PSGはバルセロナにチャンスを作らせないように守る必要がある。

ここで予想されるマッチアップを考えてみよう。バルセロナのフォーメーションは[4-3-3]ということになっているが、実際には右ウイングのメッシが中央にポジションをとっている。右サイドの高い位置で幅を作るのは右サイドバック、セルジ・ロベルトの役割だ。つまり攻撃時のバルセロナのフォーメーションは、セルジ・ロベルトを右FW、メッシをトップ下とする[2-5-3]に近い。

PSGも[4-3-3]と仮定すると、まず考えなければならないのはメッシをどう抑えるかだ。左サイドバックのマクスウェルがメッシをマークし続けるのは得策ではない。マクスウェルはセルジ・ロベルトが上がってくるスペースを抑えておいて、中央右寄りに浮遊するメッシに対しては、ヴェラッティ、チアゴ・モッタ、マテュイディの3人で対処することになるだろう。主にマテュイディが対峙するはず。最も守備力のあるマテュイディをメッシにぶつけるのが理にかなっている。

ここで気をつけなければならないのは、メッシ以外の中盤にいる選手を漏れなくマークしておくこと。バルセロナはラキティッチ、ブスケッツ、メッシ、イニエスタの4人が中盤中央のエリアにいる。つまり、PSGのミッドフィルダー3人だけでは数的不利となり、いずれはメッシにボールを持たれてしまうので、PSGは前線から1人を下ろして中盤の守備に加える必要があるわけだ。具体的には左ウイングがラキティッチをマークする、あるいはカバーニが下りてきてブスケッツにつくことになる。

試合のカギを握る PSGの左ウイング

試合のカギを握る PSGの左ウイング

ダニエウ・アウベスの後釜を担うセルジ・ロベルト photo/Getty Images

この予想されるマッチアップにおいて、PSGのキーマンになるのは左ウイングだ。バルセロナは攻撃時に右サイドバックがいない変則的な形になる。PSGの左ウイングは、中盤の守備を助けながら、攻撃時には右サイドバックのいないスペースをついて決定的なチャンスを作る役割を担う。候補はルーカスとドラクスラー。メッシに専用のマークをつけるなら、マテュイディの左ウイングという手もある。いずれにしても、メッシをゲームから締め出すこと、右サイドバックが不在になるスペースを攻略すること、この2点がPSGが勝つためのポイントになる。

ホームで緒戦を戦うPSGが、通常どおりの攻撃策に出ることもありうる。ただ、それではやはりバルセロナに打ち負ける可能性が高い。数字上はコンスタントに得点を重ねているカバーニだが、実は決定率はさほど高くない。外している決定機が多く、カバーニが1点決めるうちに、メッシやスアレスなら3点とってしまうぐらいの差があるからだ。しかし、自陣に引き込んでスペースを消して守り、メッシを締め出すという前提があれば、PSGがバルセロナのチャンスメイクを最小限に抑えることは可能だと思う。そうなればセルジ・ ロベルトの背後をつき、ピケと1対1の状況ができる。広いスペースでの1対1なら、マスチェラーノはともかくピケならば勝つチャンスはある。

バルサ優位だが セットプレイからチャンスを

バルサ優位だが セットプレイからチャンスを

この冬、ヴォルフスブルクから加入したMFドラクスラー photo/Getty Images

もう1つのPSGの狙いはセットプレイだ。空中戦に強いチアゴ・シウバ、マルキーニョスのセンターバックコンビをバルセロナのゴール前に上げて勝負できる。カバーニ、チアゴ・モッタも高さがあり、バルセロナで対抗できるのはピケしかいない。

PSGが守備的な戦術を選択した場合、焦らずに集中して守らなければならない。あまりボールに釣られすぎると、中央に集められてサイドを破られてしまう。食いつきすぎず冷静にスペースを埋めることが重要だ。対するバルセロナも、やはり焦れずにじっくりと隙を見つけ出す作業になる。試合が膠着すればPSGのペース、激しい打ち合いならバルセロナ優位の展開といっていいだろう。

文/西部 謙司

1995年から98年までパリに在住し、サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスとして活動。主にヨーロッパサッカーを中心に取材する。「フットボリスタ」などにコラムを寄稿し、「ゴールへのルート」(Gakken)、「戦術リストランテⅣ」(ソル・メディア)など著書多数。Twitterアカウント:@kenji_nishibe

theWORLD182号 2017年1月22日配信の記事より転載
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