[西岡明彦]チェルシーファンはランパードの成功、正式就任を望んでいるのでは

プレミア最強ガイド #101

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シーズン終了までクラブを指揮することになったランパード photo/Getty Images

 今シーズン2度目の監督交代に踏み切ったチェルシー。暫定の指揮官としてフランク・ランパードを招聘するというニュースはファンの落胆や失望を少し鎮めることには成功しました。果たしてチームは好転するのでしょうか。

 チェルシーで2019年夏から21年1月まで指揮を執っていたランパード。その後、エヴァートンでも勝率27%と満足な結果を残せず、1月に志半ばでクラブを離れフリーの立場でした。「ここは自分のクラブだから簡単な決断だった。練習で競争を促し、それを私が管理する。ゴールを決めたいという冷静で攻撃的なマインドセットを正しい方向に導きたい」と、就任会見で意気込みを語りました。

 ランパードは現役時代、3人の暫定監督と共に仕事をしています。フース・ヒディンクは2009年と16年に短期政権のオファーを受諾、チームの立て直しに貢献しました。12年にはロベルト・ディ・マッテオがチャンピオンズリーグ初優勝の偉業を成し遂げ、正式監督に就任。翌季、ディ・マッテオ体制が不調に陥ると、ラファエル・ベニテスにスイッチ。ヨーロッパリーグのタイトル獲得に繋がった歴史があります。「その時期に経験したことは生かせるはず」とランパードも暫定体制のポジティブな部分を理解しています。
 選手起用にも注目です。トーマス・トゥヘルに懇願され9月に加入したピエール・エメリク・オバメヤンですが、グレアム・ポッターに代わってからはチャンピオンズリーグの登録枠から外されるなど出場機会が激減。契約内容に出場ボーナスが付与されていることから上層部から起用しないよう指示があったと報じられました。また1月に内定していたPSGへの移籍が最終段階で破談となったハキム・ツィエクが直後の試合で先発出場したことがありましたが、米国人オーナーのトッド・ボーリーの圧力に屈し監督の威厳が失われていく状を
選手たちが揶揄していたとも言われました。

 水面下では来季の正式監督に向けた交渉が開始されたとの報道も。ルイス・エンリケ、ユリアン・ナーゲルスマン、ジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテなど実績がある指導者に接触を図った模様ですが、ファンの大半はランパードが残りシーズンで結果を残し正式監督に就任することを望んでいるのではないでしょうか。

 「“やり残したこと”というとハリウッド的な響きで名セリフを探しているみたいだが、ただ私はこのクラブを助けたいだけだ」と語ったランパード。その純粋な気持ちがチームに伝わることを願っています。

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