ネイマールの“元相棒”を覚えているか ガラスの両足に悩まされた天才肌MF

かつてはブラジル代表の10番も背負ったガンソ photo/Getty Images

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かつてはネイマールと同等以上の評価も

かつてネイマールと共にサントスをコパ ・リベルタドーレス制覇へと導き、各方面から「リバウドやカカーをも超えるセレソンの10番になる」と期待されていた男を覚えているだろうか。2011年に日本で開催されたクラブW杯にも出場していたことから、おそらくこのテクニシャンが記憶に残っている人も少なくないはず。その男の名はパウロ・エンリケ・シャーガス・ジ・リマ。通称“ガンソ”だ。

当時のサントスにおいて、ネイマールとガンソは誰もが認める二枚看板だった。独特のリズムを持ったドリブルでサイドをいとも簡単に攻略するネイマールに、精密機械とでも表現すべき正確なパスでチャンスメイクを行うガンソ。このゴールデンコンビは2010年に同時にブラジル代表デビューを飾っており、当時は「彼らが出現したことでセレソンの攻撃陣は10年安泰」とまで言われていたことを覚えている人もいるだろう。

しかし、結果としてあれから10年たった今、ブラジル代表に選ばれ続けているのはネイマールだけ。ヤンチャなドリブラーがセレソンのエース格となった一方で、ガンソはいつの間にか人々から忘れ去られることとなってしまった。才能は間違いなかったはずだが、この10年で彼に一体なにがあったのだろうか。

2016年夏にセビージャ移籍を果たすも、リーガで印象的な活躍を披露することはできず photo/Getty Images

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失敗に終わった欧州挑戦

結論から言えば、ガンソを悩ませたのは“ガラスの両足”だ。サントスの下部組織時代からすでに右膝の十字靭帯断裂や半月板損傷という怪我を経験していた同選手。万全の状態で試合に臨めば素晴らしい活躍を披露するが、その後もキャリアで負傷は絶えず。2010年には左膝の十字靭帯も断裂し、以降は完全に典型的な“故障と復帰を繰り返す選手”となってしまった。

そんな負傷癖の影響もあり、2013年にバルセロナへ向かったネイマールと比べて欧州挑戦がかなり遅れたガンソ。2016年夏、26歳になってようやくセビージャへと移籍を果たすが、守備面での貢献度の低さから2シーズンの在籍(18-19シーズンはアミアンへとレンタル)でプレイしたのはわずか28試合にとどまった。そして、そのまま2019年冬に母国のフルミネンセへと復帰している。こうした経歴から見ても、彼の欧州挑戦は失敗に終わったと見ていいだろう。

しかし、彼の足がガラスでできていなければどうなったか……。そんなことをいまだに思っている人は多いかもしれない。ガンソがセビージャで問題視されたのは、守備意識や運動量の低さだった。足の状態さえ万全なら、もう少し思い切りよくプレイできた可能性もあるだろう。

かつてはネイマールと同等かそれ以上に評価されながらも、その後は怪我で伸び悩んだ天才肌MF。完全に“消えた”わけではないが、ガンソが惜しい逸材だったことは間違いない。

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