サンチョこそ売却すれど、ハーランドは“非売品”  2人のヤングスターの違い

ドルトムントにおける活躍で一気に評価を高めたハーランド(左)とサンチョ(右) photo/Getty Images

そもそもの契約形態に違いが

“若い選手を育てて売る”。過去に財政難へ陥った経験から、ドルトムントが選手の取引に関して掲げているとされるこの理念。今夏にはFWジェイドン・サンチョ(21)を手放すのが濃厚となっていることからも、彼らがこの理念に忠実であることは窺い知ることができるだろう。

英『Sky Sports』によと、この取引でドルトムントが手にする移籍金は8500万ユーロ(約112億円)とされている。4年前、ドルトムントがマンチェスター・シティへ支払ったとされる移籍金はわずか700万ユーロ(約9億円)。絶対的主力の放出は痛いが、移籍ビジネスとしては大成功と言っていい。いくらスター選手といえど、ここまで利益が出るとなればクラブが移籍を容認するのも頷ける。

しかし、だからといってドルトムントはすべての選手を売却対象としているわけではない。どれだけ莫大な利益をもたらすことになろうとも、絶対に譲れない選手というのは存在するのだ。そのうちの一人がFWアーリング・ハーランド(20)。彼もサンチョと同様に以前から移籍が噂されている選手だが、ドルトムントに同選手を売却する意思はなさそうだ。

その大きな理由がクラブと交わしている契約条項。今年5月、ドルトムントのスポーツディレクターを務めるミヒャエル・ツォルク氏は、ハーランドとの契約に関して「サンチョに関しては昨年から紳士協定を結んでいた。適切な価格のオファーがあればそれを認めるというね。でもアーリングは別だ。彼とそういった契約は交わしていない」と発言している。後進の育成が順調であることからサンチョこそ売却に踏み切ったが、ハーランドまで手放す可能性はほぼゼロと言って差し支えないか。

サンチョの移籍がほぼ決まったことにより、どこかハーランドも移籍するのではないかという風潮はあるが、ドルトムントからしてみれば見当違いも甚だしいと言ったところか。彼らの扱いには契約から違いがあり、現時点でハーランドは非売品。たとえ1億ユーロ以上の移籍金を積まれたとしても、取引は成立しないかもしれない。昨今盛り上がってきたハーランドの移籍話だが、実現する可能性は低そうだ。

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