29戦無敗イタリアのビルドアップが円熟の域に スイス戦で際立ったロカテッリの“スペース探知力”

スイス代表戦で2ゴールを挙げたロカテッリ。的確なポジショニングで味方を助けていた photo/Getty Images 

早くも決勝トーナメント進出決定

UEFA EURO 2020のグループステージ第2節が現地時間16日に行われ、グループAのイタリア代表がスイス代表に3-0で勝利した。グループステージでの勝ち点を“6”に伸ばしたイタリア代表は、決勝トーナメントへの進出が確定。2018年から継続中の代表戦無敗記録も、29試合にまで更新した。

イタリア代表の基本布陣は、前節のトルコ代表戦と同じく、MFジョルジーニョをアンカーに置いた[4-3-3]。自陣でマイボールとなった際に、左サイドバックのレオナルド・スピナッツォーラが敵陣深くにポジションをとり、3バックに変形するという約束事も前節と変わらず。キックオフ直後から、ジョバンニ・ディ・ロレンツォ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニ(前半24分にフランチェスコ・アチェルビに交代)の変則3バックを起点とするパスワークで、試合の主導権を握りにかかった。

このイタリア代表のビルドアップに対し、スイス代表は[3-4-1-2]という布陣で応戦。ブリール・エンボロとハリス・セフェロビッチ(後半開始時よりマリオ・ガブラノビッチ)の2トップ、及びトップ下のジェルダン・シャキリの計3人で、イタリア代表の変則3バックをマーク。敵陣で“3対3”という数的同数を作り、イタリア代表のビルドアップを停滞させようという意図が窺えたものの、この作戦は不発に終わった。

イタリア代表のビルドアップが安定した要因は、左のインサイドハーフで起用されたMFマヌエル・ロカテッリが、的確なポジショニングで最終ラインの面々をサポートしたこと。同選手はボールが自軍の最終ラインにわたる度に自陣の深い位置へ降り、パスワークに関与。セフェロビッチがディ・ロレンツォを、エンボロがキエッリーニを監視、そしてシャキリがジョルジーニョへのパスコースを塞ぎながらボヌッチに寄せるというのがスイス代表の基本的な守り方であったが、ロカテッリが自陣に降りてきたことで最終ラインからのパスコースが増え、これによりイタリア代表のビルドアップを止めきれなかった。

[3-4-1-2]というスイス代表の布陣の構造上、トップ下のシャキリの周辺にはスペースがある。また、シャキリがイタリア代表のセンターバックにプレスを仕掛けた際に、スイス代表の最前線と中盤が間延びする場面もあった。相手の布陣のウィークポイントを踏まえたうえで、スペースをいち早く探知してポジションをとるロカテッリの抜け目なさが、この試合でも際立っていた。

この試合でロカテッリが叩き出したパスの受け取り成功数(パス・レシーブ)は、チーム内で2番目に多い52回。トラップミスや相手選手のタックルによるボールロストは0回であり、チーム内トップのパス受け取り成功数をマークしたジョルジーニョ(66回)と共に、味方のボールの預けどころとして機能したと言って差し支えないだろう(データサイト『FBref.com』より)。

相手チームの対策を上回るまでに練度が高まったイタリア代表のビルドアップ、そしてこの試合での2ゴールからも分かる通り、質の高い“ボックス・トゥ・ボックス”の動きで同代表の攻撃を牽引しているロカテッリの今後のパフォーマンスが、EURO2020の見どころのひとつとなりそうだ。

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