ローマ時代の成績だけで判断はできない? トッテナム新指揮官候補の手腕は

トッテナムの新監督就任が噂されるフォンセカ photo/Getty Images

コンテやポチェッティーノから一転

2021-22シーズン、はたしてトッテナムは誰を新監督に据えるのか。2020-21シーズン終盤戦は暫定監督としてライアン・メイソンが指揮を執った同クラブだが、現在は新監督探しの真っ只中。現地複数メディアによると、その候補には前インテルのアントニオ・コンテや2019-20シーズン途中までスパーズを指揮したマウリシオ・ポチェッティーノといった名前が挙がっていた。

そんななか、ここにきて意外な候補が急浮上している。その人物は2020-21シーズン限りでASローマの監督を解任されたパウロ・フォンセカだ。英『Sky Sport』によると、すでにクラブはこの指揮官と接触済みとのこと。実現すれば来季からローマの指揮を執るジョゼ・モウリーニョと実質的なスワップとなるのだから、興味深い人事と言えるだろう。

とはいえ、ローマを解任された男にチームを任せて大丈夫なのだろうか。そんな不安を抱いているファンも少なくないだろう。実際、2020-21シーズンにフォンセカが率いたローマはセリエAで7位。再建を図るスパーズの指揮官に適任かと言われれば、疑問が残るのは当然だ。

クラブとしては、高給取りのコンテやレオナルドSDが慰留に努めているとされるポチェッティーノの招聘が難しいと判断しての選択だったのかもしれない。しかし、ローマでの実績だけでこの指揮官を判断することもできないだろう。最終的に結果こそ残せなかったものの、この男が永遠の都で取り組んでいたこと自体には興味深いものも少なくなかった。

ホイビュルクなどが円滑にビルドアップを進めることができれば、フォンセカのサッカーはローマ時代より面白くかもしれない photo/Getty Images

戦術がハマればおもしろい

そのひとつが攻撃のアプローチ。ローマ在任期間の後半では、3バックシステムを採用していたフォンセカ。センターバック3人とボランチ2人の計5人でビルドアップをしていこうという形である。これがハマった際のローマの攻撃力には目を見張るものがあった。

左右の高いポジションに配置された攻撃的なウイングバック、そしてヘンリク・ムヒタリアンやペドロ・ロドリゲスといった自由なポジション取りで相手を出し抜くアタッカーにボールを入れることさえできれば、攻撃の手数は豊富。最大火力だけでいえば、この形を駆使したローマの攻撃力はセリエAでも上位のレベルにあったと言っていい。

ただ、そのキモとなるビルドアップでエラーが生じた際に、今季のローマは苦労した。なにしろ、3バック中央に入ったブライアン・クリスタンテとボランチのロレンツォ・ペッレグリーニが最も得意とするのはそれぞれ一つ前のポジションだ。この部分を改善できなかったのが、フォンセカがローマで失敗した大きな要因のひとつだろう。

しかし、トッテナムにはそんなビルドアップの要となるポジションに優秀な人材も少なくない。トビー・アルデルヴァイレルトを3CBの中央に配置し、ハリー・ウィンクスやピエール・エミール・ホイビュルク、ジオバニ・ロ・チェルソといった選手のうち2枚をボランチに配置すれば、フォンセカの目指す完成形に近づく可能性はあるだろう。完成さえすれば、この指揮官が目指すスタイルの威力は絶大なはずだ。

気になるのはアルデルヴァイレルト以外のCBだが、今季のローマは3バック脇のスペースを突かれて失点が嵩んだ印象も強い。中盤にホイビュルクのようなポジショニングで気の利く選手がいるだけに、ビルドアップはある程度そちらに任せて、両脇のCBは対人に強い選手を置くというのもアリだろう。

結局、ローマでは目指した形が完成しなかったフォンセカのサッカー。だが、トッテナムの選手のクオリティを考えれば、彼のスタイルが出来上がる可能性も低くはないか。フォンセカの就任報道に落胆しているファンも少なくないだろうが、この指揮官を前の職場における結果だけで判断することはできない。

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