[MIXゾーン]フロンターレの強さは「アップデートの速さ」にアリ 日々進化し続ける王者

試合後に札幌戦を振り返った小林 photo/スクリーンショット

勝っても反省点を口にする選手が多い

川崎フロンターレは16日、明治安田生命J1リーグ第14節で北海道コンサドーレ札幌と対戦し、2-0の勝利を収めた。この結果、今季開幕戦からの無敗記録を「17」とするとともに、昨季から続くJ1での不敗記録を「22」まで伸ばし、新記録を樹立した。

何度かチャンスを迎えるも、前半はなかなか思うような試合運びをさせてもらえなかったホームの川崎。しかし、後半に入ると一気にギアを上げ、49分にFW三笘薫が貴重な先制点を挙げた。その後は相手に押し込まれる場面もあったが、主将を務めるDF谷口彰悟を中心に最後まで集中を切らさない粘り強い守備を披露。そして仕上げに、87分からピッチに立ち、この試合でJ1通算300試合出場を達成したFW小林悠が、後半アディショナルタイムに絶妙な抜け出しからゴールネットを揺らし、勝利を手繰り寄せた。

札幌は昨年11月にホームで0-2の敗戦を喫した相手で、昨季唯一完敗した相手と言ってもいいだろう。相手によってスタイルを変化させるのではなく、“らしさ”を貫き通す札幌を相手に、この日もやや苦戦を強いられたが、そんな相手に見事リベンジを果たした川崎。最終的にきっちり2点を奪って見せた攻撃陣もそうだが、特に守備陣が光ったのではないか。ミッドウィークに行われたベガルタ仙台戦では、最後の最後で守りきれずに失点し、痛恨のドローに終わっていたが、今回の札幌戦では仙台戦の反省をきっちり活かし、完封して見せたのだ。
今季も首位を独走する川崎だが、彼らの強さは日々、試合ごとにチームを改善したり、選手たちが成長したりする「アップデートの速さ」にあると思う。勝利を収めた試合でも、監督や選手たちから「まだまだだった」や「もっとこうすべきだった」のようなコメントを聞くことがよくあり、さらなる高みを目指しているのがよくわかる。前の試合の反省をすぐ次の試合に反映できるのは、そういった姿勢があってこそだろう。鬼木達監督や選手たちも、アップデートの速さには手応えを感じているに違いない。

◯鬼木達監督
「前節(仙台戦)の嫌なドローのところから、選手は自分たちのやるべきことをしっかりとやってくれた結果がこういうふうになったと思います。5連戦のラストで苦しいゲームでしたけど、それでもしっかりと点を重ねたこと、そして最後は(失点)ゼロで身体を張って抑えたこと。選手の成長を感じる良いゲームだったと思っています。まぁ全部は言えないですけど、この間のゲーム(仙台戦)を経て今日みたいなゲーム(札幌)をやるのが一番重要で、こういう勝つことが成長につながるという話はしています」

「まだまだ修正できるところはあると思います。ただ、前節(仙台戦)はラストのところでバタバタしましたけども、今節はしっかりと締めるところを締めたりとか、徐々に徐々にメンタル的な強さは培ってこられているのかなと思っています。ただ、それを気を緩めずにやっていくことが一番重要です。勝ちながら課題の修正というのもずっとやっていますけど、今回も課題は色々あるので、そうやってまたやっていければいいなと思います」

◯小林悠
「本当に今のフロンターレは強いなと、自分のチームで言うのもなんですけど感じています。それは練習中から本当に競争が激しくて、誰が出るか、誰がベンチに入るか、監督も毎回選ぶのが難しいような状況がある中での結果だと思います。ただ試合に勝っているから強いというよりも、本当にチームとしての力がついてきたのかなというのは、長くフロンターレにいますけど、すごく感じていますね」

「(仙台戦の悔しさを経て)どう終わらせるか、今のフロンターレのカギになっているなと思います。時間帯によっては、時間を稼ぐのか。チャンスがあれば、やっぱりゴールを決めたほうがチームを助けられると思いますし……。そこはオニさん(鬼木監督)も求めているところで、選手たちはみんなでしっかり考えなければいけない。ただ、意思を合わせるようにと言われているので、今日に限っては時間を使うところと、僕がゴールを決めたシーンみたいにチャンスのところでは仕掛けるところ、その意思統一がしっかりできていたと思います」

「やっぱり選手ひとりひとりの意識が本当に高いので、志す場所も高くて、勝った試合でも反省がすごく出て、『もっとこうすればよかった』とかそういう話をします。フロンターレに長くいますけど、ここ数年で一番。満足はしている選手はいないし、勝ちながら修正していくという意識が、若い選手を含めてみんなあるので、それが負けなしに繋がっているのかなと感じています」

◯チョン・ソンリョン
「本当に監督が求めている『球際』、『切り替え』、『ハードワーク』、そういうものをみんなが意識して成長し続けています。全員で攻撃、全員で守備をして、勝ちながら成長していると思います。守備の選手だけでなく、前線の選手からハードワークしてくれます。後ろの選手はリスク管理もしてくれて、僕に関してはDFの後ろのスペースをカバーするのを意識しています。そういう意識があるので、無失点が続いていると思います」

ここまで無敗をキープしているが、今季も勝ちながら成長していくフロンターレ。連覇の行方もそうだが、シーズンを通して成長したチームが最終的にどんなチームになっているのか楽しみで仕方がない。

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