大久保嘉人、4度目の得点王へゴール量産の予感 古巣川崎相手に見せた抜群の駆け引き

開幕2戦で3ゴールと好調な大久保嘉人 photo/Getty Images

ストライカーとしての力が見えた2点目

セレッソ大阪は3日、ひと足先に行われた明治安田生命J1リーグ第11節で川崎フロンターレと対戦。王者を相手に敵地で2度のリードを奪うも逆転を許し、2-3の敗戦を喫した。

惜しくも勝ち点を取りこぼすこととなったC大阪だが、そんな中でも輝きを放ったのが今季15年ぶりに桜色のユニフォームの袖に腕を通すこととなった38歳のFW大久保嘉人だ。大久保はC大阪復帰が決まった際、近年なかなか結果を残せていなかったこともあってか、厳しい批判に晒されることもあり、結果が残せなければ「序盤戦で引退」といった可能性も取り沙汰された。しかし、開幕戦で先制ゴールを奪って勝利に貢献し、ネガティブな意見を払拭。そして、その勢いそのままに、古巣対戦となった川崎戦でも2ゴールの活躍で躍動して見せたのだ。

開始早々の5分に決めた1点目のシーンでは、ペナルティエリア右手前でボールを受けると、右足を振り抜いてゴール左隅のいわゆる“神様コース”にシュートを叩き込んで見せた。やや距離のある位置からでも迷いなくゴールを狙うのは、さすがと言ったところ。過去3度の得点王に輝いたこともあるシュートセンスは、38歳になっても健在だ。
ゴールの凄さや美しさだけで言えば、1点目のシーンの方が圧倒的に上回っているだろう。しかし、大久保のストライカーとしての力や真価が見られたのは、2点目のシーンの方ではないだろうか。1-1で迎えた22分、FKのこぼれ球を拾ったDF松田陸の右クロスをファーサイドで合わせ、勝ち越しゴールを奪った大久保。もちろん、このゴールも角度のないところからうまく合わせた素晴らしいゴールだ。ただ、このシーンで際立っていたのは川崎DFジェジエウに対して見せた抜群の駆け引きだろう。

FKが壁に一度跳ね返された際にはオフサイドポジションにいた大久保は、すぐにオンサイドへポジションを取り直すのではなく、仲間や相手の動きを見ながら少しその場に留まる。これにより、川崎DF陣の自身に対する警戒が緩くなり、チェックも甘くなる。そこで大久保は、クロスに対応するために川崎DF陣がラインを下げると同時にスッとオンサイドにポジションを取り直した。さらに、マークについていたジェジエウがクロスを上げてくる選手に対して、一瞬ボールウォッチャーになった隙を見計らって、背後を奪って見せたのだ。

ボールがくる直前までオフサイドポジションにいて油断させ、相手DFと駆け引きする動きは、一流のストライカーたちがよくやる動きでもある。大久保は開幕戦でゴールを決めた際にも、このオフサイドポジションからポジションを取り直す動きを見せていた。今回のゴールでは試合後に「ボールが伸びて、キーパーとジェジエウがかぶってくれたので、その一瞬を突いた」と振り返っていたが、直前の駆け引きがあってこそのゴールだと思う。

このほかにも、あえて遅れてゴール前に走り込んだり、ファーサイドから一気に加速してニアサイドへ走り込んだり、この試合では大久保のゴールを奪うためのさまざまな駆け引きが見られた。また、J屈指のフィジカルを持つジェジエウにも動じない気迫や、ゴールへの執念も感じられ、4度目の得点王へゴール量産を予感させる。完全復活とともに最年長での得点王受賞なるか。大久保が得点王に輝くほどの活躍ができれば、必然的に王座も見えてくることだろう。

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