問題は攻撃力不足だけでない アーセナルがまず取り組むべき課題とは

サウサンプトン戦で2枚目のイエローカードを貰い、退場となってしまったマガリャンイス(右) photo/Getty Images

不用意な警告を減らすべし

2020-21シーズンのアーセナルにおいて、最大の問題となっているのが深刻な攻撃力不足だ。元来、前線の破壊力は同クラブにとって最大の強みだったはず。だが、今季ここまででガナーズが記録しているリーグ総得点数はわずかに「11」。なんと、彼らは今季プレミアで4番目に少ない数字を記録することになってしまっている。

開幕前こそ、ミケル・アルテタ監督が志向するシステマティックなサッカーに対する期待感は高かった。しかし、蓋を開けてみれば彼らが自陣に引いた相手を崩しきれない場面は散見され、結果的として大外から無為なクロスを放り込むことも増えている。この課題を克服しなければ、今季のアーセナルに上位進出の望みはない。現地ではそんな見方も強まっている。

だが、今のアーセナルに渦巻く問題はそれだけではない。攻撃力の低下が懸念される一方で、今季の彼らは無駄な警告を受けてしまう機会も増えているのだ。2020-21シーズンのプレミアにおいて、彼らが貰ったカード数はリーグで6番目に多い「22」。これだけを見れば彼らよりも多いチームはあるのだが、審判への抗議や遅延行為による警告数だけに着目してみると、その数は「7」となっている。これはフラムやブライトンと並んでリーグワーストタイ。さらにレッドカードを受けた数は「3」で、こちらは単独でリーグ最多だ。
実際、現地時間16日に行われたリーグ戦第13節のサウサンプトン戦でもその一端は垣間見ることができた。前半終了間際にMFダニ・セバージョスが判定に納得がいかず受けた警告や、DFガブリエウ・マガリャンイスが相手のリスタートを遅らせるためにボールを蹴り出して貰った1枚目のイエローは余計だったと言えるか。マガリャンイスのプレイはDFとして果たす責務を考えてのことだったかもしれないが、のちに退場へと繋がった点を考えれば不用意だったと言わざるを得ないだろう。これにより、マガリャンイスは次節エヴァートン戦に出場停止。どうしても勝ち星が欲しい試合で、アーセナルは守備の要を欠くこととなってしまった。

第12節のバーンリー戦でも、MFグラニト・ジャカが選手の首元を掴んで一発退場を食らったアーセナル。このまま警告数が増えれば、ただでさえ苦しい状況であるにもかかわらず、カードトラブルによって自分たちの首を絞める可能性は高い。自陣ゴール手前での致し方ないファウルを減らすことは難しいかもしれないが、ガナーズは今後できる限り不用意な警告を避けるべきだろう。攻撃力不足の解消に取り組むとしても、まず駒が揃っていなければそれも不可能。成績不振でイライラが募る気持ちも理解できるが、まずアーセナルの選手たちはピッチ上で冷静にプレイすることを心がけたい。

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