武藤嘉紀を超える“J最強”のルーキーか 変幻自在の三笘が駆け抜けた衝撃の1年

川崎フロンターレでブレイクした三笘薫 photo/Getty Images

この1年で一気にブレイク

欧州でも通用するアタッカーなのだろうか。圧倒的な強さで今年のJ1を制した川崎フロンターレには、今Jリーグで最も注目を集める若手選手がいる。

その名は三笘薫。プロ1年目からリーグ戦で13得点を決めた23歳のアタッカーは、この1年で一気にJの主役となった。左サイドを中心に独特なリズムを刻む三笘のドリブルは予測が難しく、相手DFのタイミングを外すのも上手い。縦と中の両方へ切り込める三笘の技術は見る者を魅了してきた。

J1の舞台で1年目から13得点を挙げるのは、FW武藤嘉紀、渡邉千真に並ぶ記録だ。タイプ的には武藤の方が近いと言えるだろう。武藤は2014年にFC東京の一員としてリーグ戦13得点を記録して一気にブレイク。同年にはハビエル・アギーレ率いる日本代表に招集され、そこでも得点を記録したことから注目の若手プレイヤーとなった。
武藤は1年後の2015年夏にドイツのマインツへと移籍しており、三笘も欧州で戦えるだけの技術は備えているはず。しかも三笘の場合は当時の武藤以上のインパクトがある。

当時の武藤はFC東京の主力としてリーグ戦33試合に出場して13得点を挙げたが、今季開幕当初の三笘はバックアッパーからのスタートだった。そのためリーグ戦出場は29試合に留まっており、プレイタイムはここまで1550分。一方で当時の武藤は開幕直後から主力になっていたため、プレイタイムは2495分間もあった。三笘が19日に行われる最終節の柏レイソル戦に出場したとしても、当時の武藤とはプレイタイムにかなりの開きがあることになる。

さらに当時の武藤は3アシストしか決めていないが、三笘はすでに二桁の10アシストを奪っている。1年目からゴールとアシストの両方を二桁に乗せてくるのは見事と言うしかない。

FC東京で活躍した武藤 photo/Getty Images

日本代表でも見てみたい

もう少し細かい数字を見てみると、三笘はミスショットが少ない。データサイト『SofaScore』の集計では、今季リーグ戦で三笘が放ったシュート数は40本。シュートのうち32.5%がゴールとなっており、チャンスを確実に活かしていることが分かる。同じ川崎フロンターレ所属で14得点を奪っているFW小林悠は62本のシュートを打っており、得点率は22.6%。27得点を奪って得点ランク首位を独走している柏レイソルのオルンガは132本もシュートを打っているため、得点率は20.1%だ。三笘の精度が高いことが分かるデータと言える。

またお得意のドリブルの方も成功数は名古屋グランパスのマテウスに次いでリーグ2番目に多い60回を記録しており、仕掛けからフィニッシュまで文句のつけようがない1年だった。

東京五輪世代ではビジャレアルの久保建英、アルミニア・ビーレフェルトの堂安律、バルセロナBの安部裕葵、リオ・アヴェの食野亮太郎など海外で活躍しているライバルも多いが、三笘も彼らに負けないだけの実力をJの舞台で証明した。東京五輪世代でも主役になれるアタッカーだ。

果たして三笘のキャリアは今後どうなっていくのか。日本代表でも主力となってほしい魅力溢れる逸材で、2022カタールワールドカップまでにA代表で試したい選手の1人だ。

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