“3冠監督”に称賛が止むことはない 「彼のマネジメントは芸術」

シーズン途中から指揮を執り、バイエルンを見事3冠へと導いたフリック監督 photo/Getty Images

レジェンドから絶賛の声

2020-21シーズン、序盤戦はニコ・コバチ前監督の下でなかなか思うように勝ち点を積み上げることができなかったバイエルン・ミュンヘン。当時の彼らを見て、シーズン終了時には3冠を達成するだろうと予想していた人がどれほどいただろうか。おそらく、熱心なファンでもそう信じていた人はそれほど多くはいなかったことだろう。「今季はリーグ優勝も危ういかもしれない」。そんな雰囲気は一部で確実に存在していたはずだ。

しかし、そんな嫌な流れを断ち切ったのがコバチ前監督の退任後にそのバトンを受け取ったハンジ・フリック監督だった。同監督は前政権下で冷遇されていたFWトーマス・ミュラーを積極的に起用し、それまでアタッカーの控えとみなされていたアルフォンソ・デイビスを左サイドバックに本格コンバートさせるなど、前指揮官とは違った趣向のチームづくりに着手。見事にチームの立て直しを成功させてみせた。今季の3冠獲得における最大の功労者は誰かと聞かれれば、この指揮官を挙げる人も決して少なくはないだろう。

そんなフリック監督への称賛はいまだに止まない。クラブOBの元ドイツ代表DFフランツ・ベッケンバウアー氏は同監督のマネジメント力をこの上なく高く評価している様子。独『Spox』によると、同氏はフリック監督の手腕について次のように述べている。
「フリックはバイエルンに活気を吹き込んだね。彼が就任するまでは、チームの中にどこか嫌なムードがあったと私は思う。だけど、素直に選手と喜びを分かち合う彼の明るいキャラクターのおかげで、彼らは再び軌道に乗ることができた。これはフリックが挙げた最大の成果と言えるね。彼は非常に人間味がある指揮官だ。世界トップレベルの選手とどのようにコミュニケーションを取ればいいか、彼はその全てを理解していた。トレブル達成は決して偶然ではなかったと思うよ。本当に彼のマネジメントは芸術と呼ぶにふさわしいものだった。彼が指揮を執ってからというもの、チームは常に満たされた状態だった」

単純な戦術眼だけでなく、フリック監督は選手とのコミュニケーション方法の点からも優秀だったとベッケンバウアー氏。先日は元ドイツ代表MFバスティアン・シュバインシュタイガー氏も同監督の人柄を「とてもポジティブで落ち着いた人物だ。非常にクリアなスピーチをするし、ユップ・ハインケスに似ているところがある」と評している。2019-20シーズンの3冠獲得は、指揮官のピッチ外における振る舞いが選手たちに受け入れられたことも大きかったか。スポーツはプレイヤーばかりに注目が集まりがちだが、その組織を掌握するボスの手腕も成績に大きく関わってくる。

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