[ロシアW杯#61]堅守のフランスが先行逃げ切り! ベルギーの攻撃封殺で、決勝へ

奇策で挑んだベルギー 数回あった好機をふいに

奇策で挑んだベルギー 数回あった好機をふいに

決勝ゴールを挙げたウムティティ。守備面でも的確なポジショニングが光った photo/Getty Images

ベルギーは多くの選手を起用し、複数のシステムを駆使して勝ち上がってきた。決勝進出となれば同国史上初のことで、重要な一戦を前にマルティネス監督は「ムバッペの動きを読まないといけないし、スペースを与えてはいけない。(フランスは)いくつかの攻撃パターンがあるので、他選手にも警戒が必要だ」と語っていた。
 
いざ試合がキックオフされると、ベルギーは攻撃時に右SBのシャドリのポジションが高くなる流動的な[4-2-3-1]であり、ボールの出所であるポグバにトップ下のフェライニを当てるスペシャルな布陣だった。守備ではムバッペがボールを持つと対峙するヴェルトンゲン、守備的MFのM・デンベレ、CBのコンパニが距離を縮めて対応する。39分にムバッペを追い越して攻撃参加したパヴァールに決定的なシュートを許したが、自分たちのペースで戦っていた。

攻撃でも得点こそなかったが、E・アザールが積極的なドリブルからチャンスを生み出しており、前半のベルギーはまずまずだった。16分、19分にE・アザール、21分にはCKの流れからアルデルヴァイレルトが決定的なシュートを放っており、このうちどれかが決まっていたなら試合は違った展開になっていただろう。

実際は0-0で進み、変則的なベルギーの出方をうかがっていたフランスもあまり無理はせず、自分たちからペースアップすることはなかった。結果として、前半は双方がトップギアではない、比較的静かな展開となった。

フランスがCKをものに 堅守速攻も冴え渡る

フランスがCKをものに 堅守速攻も冴え渡る

攻めあぐねるベルギーは81分にヴィツェルがミドルシュートを放つも、GKロリスの好守に阻まれた photo/Getty Images

先制点は唐突に生まれた。51分、フランスがCKのチャンスをつかむ。キッカーのグリーズマンがゴール前にボールを入れると、マーカーだったアルデルヴァイレルトを振り切ってニアサイドに走り込んだウムティティが頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。
 
その後、試合は攻めるベルギー、守るフランスという展開に。屈強な身体を持ち、対人プレイに強い選手がズラッと揃うフランスが守りに入ったことで、この時点でもはや雌雄は決していた。E・アザールがドリブルで仕掛け、交代出場したメルテンスがこれでもかとゴール前にクロスを入れても、なかなかシュートに繋がらない。それでも、65分にメルテンスのクロスからフェライニがヘディングで、81分にはヴィツェルが右足ミドルシュートで狙ったが、前者はゴール枠内をとらえず、後者はGKロリスにセーブされてゴールには繋がらなかった。

フランスの組織的で手堅い守り、時間をしたたかに使う試合巧者ぶりにベルギーはなす術がなく、あとは時間の経過を待つばかりだった。リードを奪ったフランスは、わずかな隙も見せなかった。グリーズマン、ムバッペを前線に残し、何度か鋭いカウンターを仕掛けることでしっかり“脅し”もかけていた。85分にはジルーに代わってエンゾンジが投入され、万全が図られる。追加点が生まれないことなど何も問題ではなく、最少得点差ながら余裕さえあった。準決勝にして、フランスは早くも王者の風格を漂わせていた。

[スコア]
フランス代表 1-0 ベルギー代表

[得点者]
フランス代表:ウムティティ(51)

文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より6大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10

theWORLD220号 2018年7月11日配信の記事より転載

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