モウリーニョはマンUを成長させることができているのか!? ペップに圧倒的な差をつけられた”お得意の2年目”

マンUを率いるモウリーニョ photo/Getty Images

早期にリーグタイトル獲得できなければ招聘の意味なし

ジョゼ・モウリーニョはマンチェスター・ユナイテッドを成長させることができているのだろうか。昨季こそコミュニティ・シールド、リーグ杯、ヨーロッパリーグとタイトルを複数獲得したが、2年目の今季はもうFA杯しか獲得可能なタイトルはない。何よりクラブが期待していたアレックス・ファーガソン氏退任以降達成できていないプレミアリーグ制覇の目標に全く届いていない。昨季はトップ4から漏れて6位でフィニッシュし、今季もマンチェスター・シティに大きくリードされてしまった。

これまで何度かモウリーニョはマンCが多額の資金を投じて優秀な選手を集めていることが自分たちとの差だとアピールしていたが、30節を消化した時点で勝ち点差が16も開いている理由を補強費だけで片づけるのは無理がある。マンCを指揮するジョゼップ・グアルディオラはチームに明確なスタイルを植え付けており、昨季から組織として成長している。モウリーニョもグアルディオラも今季は2年目だが、チームの完成度ではグアルディオラ率いるマンCが圧倒的に上だ。グアルディオラの目指すスタイルが明確になっていることもマンCの補強がヒットしている理由で、モウリーニョはここまで上手くチームを成長させることができていない。

何より気になるのは消極的な戦い方だ。マンUはチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でセビージャと対戦し、ホームでの2ndレグを1-2で落としてベスト16で姿を消すことになった。アウェイでの1stレグを0‐0で終えたところまでは良かったが、モウリーニョはホームで迎えた2ndレグでも相手をリスペクトしすぎていた。

セビージャ戦の3日前に行われたリヴァプール戦ではマーカス・ラッシュフォードが左サイドから2得点を挙げていたのだが、セビージャ戦ではそのラッシュフォードを右サイドに回した。セビージャの攻撃的な左サイドバックであるセルヒオ・エスクデロの攻め上がりをケアするためだ。ファン・マタ、アレクシス・サンチェスよりは運動量もあるラッシュフォードの方がこの仕事に向いているが、モウリーニョが自分たちの強みを活かすのではなく相手のストロングポイントを消すことを優先したことは気にかかる。もちろんサンチェスは左サイドが本職だが、リヴァプール戦のパフォーマンスを考えればラッシュフォードを左、サンチェスを中央に配してもよかったはずだ。

それも相手はセビージャだ。過小評価するわけではないが、バルセロナやレアル・マドリードと対戦したわけではない。ホームで戦うことを考えればマンUはもっと積極的な戦いをすべきだった。グアルディオラ、ユルゲン・クロップなら、相手の長所を消すことよりも自分たちの長所を最大限活かす道を選んだはずだ。この2人とモウリーニョのアプローチは完全に異なっており、どちらが就任時からチームを成長させてきたのかは議論するまでもないだろう。

モウリーニョはクラブにさらなる補強を求めるだろうが、これではルイ・ファン・ハールが指揮を執っていた時と変わらない。モウリーニョはこれまで短期間でチームを強くしてきた実績があり、特に2年目に強いと評判だ。インテルでは2年目にチャンピオンズリーグを含む3冠、レアル・マドリードでは2年目にリーグ制覇、チェルシー第二次政権でも2年目にリーグ戦とリーグ杯の二冠を達成している。1年目に自身の哲学を落とし込み、2年目はスタートから圧倒的な強さでタイトル争いに絡んでいく。モウリーニョが得意とする短期間での強化策にマンUはプレミア制覇の希望を懸けた。ヨーロッパリーグやFA杯も重要なタイトルだが、やはりマンUのプライドを取り戻すにはファーガソン氏退任以降途絶えているプレミアリーグのタイトルを獲得するしかないのだ。

しかし、そのモウリーニョ体制2年目もリーグタイトルには届きそうにない。しかもチームに明確なスタイルを植え付けたとは言えず、将来に繋がっているとは言い難いものがある。これまでモウリーニョが指揮してきたチームも短期間で数多くのタイトルを獲得したが、その代わり将来性はあまりなかった。マンUもそれを理解していたはずで、2年目の今季もリーグタイトルに届かないのであればモウリーニョを招聘した意味がなくなってしまう。

もちろんモウリーニョ自身も難しさを感じているだろう。これまで指揮してきたレアル・マドリードやチェルシーに比べて、現マンUの陣容はそれほど豪華とは言えない。最前線のロメル・ルカクには経験が欠けており、能力的にもカリム・ベンゼマやディディエ・ドログバには劣る。モウリーニョのような守備的なサッカーをする場合は攻撃面を前線の個の能力に頼る機会が多くなるが、アントニー・マルシャルやラッシュフォードもクリスティアーノ・ロナウド、アンヘル・ディ・マリア、エデン・アザールのような能力を持っているわけではない。今冬に獲得したアレクシス・サンチェスもなかなかフィットしないとなれば、攻撃が行き詰まるのも無理はない。モウリーニョの理想とするサッカーをマンUで実現させるには、11人全員を入れ替える規模の補強が必要だったのだ。就任時から補強する必要がなかったのはダビド・デ・ヘアがいるGKくらいだろう。

今季終了後も大型補強に動くだろうが、今のマンUには補強すべきポイントが多々ある。なかなか決まらないエリック・バイリーの相棒、本職ではないアシュリー・ヤングが務めている左サイドバック、引退するマイケル・キャリックに代わる中盤のゲームメイカー、右サイドを主戦場とするレフティーのスピードあるアタッカー、アントニオ・バレンシアに頼り切りの右サイドバックにも信頼できるバックアッパーが欲しい。これだけ見ても今夏には最低4、5人の即戦力が必要で、近年の市場の傾向からすると信じられない金額がかかってくる。しかしマンUがモウリーニョの下でリーグ制覇を成し遂げたいのであれば、この課題を全てクリアするしかない。この2年間で明確なスタイルが植え付けられていないチームにはワールドクラスのタレントが複数必要なのだ。

この1月にクラブはモウリーニョとの契約を2020年まで延長したが、現段階ではモウリーニョのチームに未来を見ることは難しい。これまでモウリーニョが1つのクラブを長期間指導した経験が乏しいことも気がかりだ。今季の内容から考えれば今季終了後の解任を検討しても不思議はないのだが、マンUはどこまでモウリーニョを信じるのか。引き返すならば、今季終了後しかないだろう。


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