水沼貴史です。夏の移籍市場で狙い通りの補強ができたクラブ、思うような補強ができなかったクラブ……。さまざまあると思いますが、今季もプレミアリーグが大きな盛り上がりを見せていますね。マンチェスター・シティは相変わらずの強さを見せていますし、日本でも監督経験のあるアンジェ・ポステコグルー率いる新生トッテナムが素晴らしいスタートを切っています。トッテナムは今季、面白い存在となるのではないでしょうか。
そんな中で、私が注目してるクラブのひとつがブライトンです。今回はブライトンについて少々お話をしたいと思います。
ブライトンは今夏の移籍市場において、チームの主力であったMFアレクシス・マックアリスターとMFモイセス・カイセドが、それぞれリヴァプールとチェルシーへ移籍。これは間違いなく、チームにとって大きな痛手だったでしょう。シーズンが始まったばかりでもありますし、彼らの不在の影響はまだまだ色々な面で出ていると思います。
全体的なバランスもそうですが、これまで完封した試合がないところからみでも、特に守備面では少なからず影響が出ていると思います。個で守れていた選手がいなくなってしまったのは非常に大きい。相手のカウンターをくらう際にも、昨季まではカイセドがひとりでなんとかしてしまうシーンがたびたび見られましたからね。しかし、これは仕方がないことですし、チームとしても織り込み済みでしょう。
一方で、昨季もそうでしたが、ロベルト・デ・ゼルビのサッカーはどの選手が出ても同じサッカーができる。これが強みです。主力の2枚が抜けても、しっかり同じスタイルを貫いてくるんだなと思いました。
ドルトムントから加入したMFマフムド・ダフードも面白い選手だと思いますし、ワトフォードから加入したFWジョアン・ペドロあたりもいいなと思います。経験豊富なジェイムズ・ミルナーは言わずもがなでしょう。そして、アンス・ファティの電撃加入もありました。あと、新戦力ではありませんが、MFフリオ・エンシソもウルブズ戦で素晴らしい動きを見せていました。それだけに彼の負傷離脱は残念です。
真ん中の要2枚を失っても徹底的にパスを繋ぐサッカーを披露し続け、ここまで4勝1敗と、今季もしっかりと結果を残しています。しかも第1節と第2節では4得点、さらに第4節と第5節ではニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドという強豪相手に3点を奪っての勝利。第3節ウェストハムは相手のカウンターとGKのセーブが素晴らしく、負けてはしまいましたが、試合内容は決して悪くなかった。相変わらず素晴らしい攻撃を見せていますね。デ・ゼルビのスタイルがチーム全体にしっかり定着していて、本当にすごいなと思います。
懸念材料があるとすれば、スケジュールや選手層の面。今季は、昨季にはなかったヨーロッパのコンペティションが入ってきますからね。試合が進むにつれて、その影響が出てくる可能性はあるかと思います。基本的に、各ポジションに2枚以上の選手がいますが、主将でセンターバックを務めるルイス・ダンクの代えがいないことだけはやや不安。守備の要であるだけでなく、攻撃も彼から始まることが多いですからね。過密日程などは中堅クラブにとっての「壁」ではありますが、クラブがより成長していくためには乗り越えなければならない壁だと思います。デ・ゼルビの手腕やチームとしての「真の力」が試されるかもしれません。