B・シウバ依存から脱却するための新たな試み? 両SBを中盤化するペップ・シティのビルドアップ

知的なSBへと姿を変えつつあるカイル・ウォーカー photo/Getty images

今季はどこまで続けるのか

アーリング・ハーランドの2ゴールでウェストハムに勝利したマンチェスター・シティ。各メディアは鮮烈なプレミアリーグデビューを果たしたノルウェー代表のストライカーを取り上げており、リヴァプール戦後の批判が嘘かのように称賛されている。

確かにハーランドの活躍は素晴らしく。近年のシティにはないものだった。チャンスを確実に決めるシュートの上手さは異次元であり、これでまだ22歳というのが恐ろしい。

ウェストハム戦ではハーランド以外にも注目するべきポイントがあり、その一つが後方からのビルドアップだ。昨季のシティはインサイドハーフのベルナルド・シウバを最終ライン付近にまで下げ、[4-2-3-1]のような形になることが多かったが、ウェストハム戦では両サイドバックのジョアン・カンセロとカイル・ウォーカーが内側にポジションを取り、ビルドアップをサポートしている。陣形でいえばセンターバックのネイサン・アケとルベン・ディアスの前にアンカーのロドリと両SBがポジションを取る[2-3-5]のような形だ。
これが非常に機能していた。通常であればビルドアップの出口となるインサイドハーフのケビン・デ・ブライネとイルカイ・ギュンドアンではなく両SBにすることでウェストハムに的を絞らせずビルドアップを行うことができる。初めから決められたフォーマットではなく、その場に応じたアドリブ力の高い組み立てであり、ウェストハムは困惑していた。ただこのビルドアップはカンセロとウォーカーの技術の高さがあってこそ実現しており、今後獲得されるSBにこの動きが務まるのかは気になるところだ。

役割でいえばほぼ中盤といえるため、SBでの守備が務まる選手であれば今後SBで起用される可能性がある。例えばリーズからやってきたカルヴィン・フィリップスを右SBとして起用しても何ら不思議ではない。

またこのシステムはインサイドハーフではなくSBがビルドアップの質を高めており、B・シウバに依存することはなくなる。昨季の終盤からリヴァプールとのコミュニティシールドでは前述したようにB・シウバが最終ライン付近まで下がっていたが、それをする必要がなくなるのだ。ポルトガル代表MFはバルセロナ移籍がささやかれており、もしかしたらペップはすでにB・シウバ依存から抜け出そうとしているのかもしれない。

昨季の序盤も同じく両SBを中央に絞らせる新たなビルドアップを試していたペップ。昨季はいつの間にかそのビルドアップはやめてしまったが、今季はどこまで新たな試みを続けるのだろうか。

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