[粕谷秀樹]新しいチャレンジへ、サンチェスは腹を据えろ 構想外なんてプライドが許さない

粕谷秀樹のメッタ斬り 033

粕谷秀樹のメッタ斬り 033

選択肢はローンしかなくなった

アレクシス・サンチェスが追い込まれているね。

マンチェスター・ユナイテッドからローン移籍したインテル・ミラノでも、周囲の期待に応えていない。足首の負傷で前半戦を棒に振り、セリエA中断の段階で9試合・1ゴール・2アシスト。ラウタロ・マルティネスやロメル・ルカクだけではなく、17歳のセバスティアーノ・エスポージトよりもクラブ内の優先順位が低い。

インテルのアントニオ・コンテ監督もあきらめたようだ。シーズン終了後、サンチェスはユナイテッドにローンバックされる可能性が高いね。

しかし、帰ってきても居場所がない。ユナイテッドの前線はマーカス・ラッシュフォード、メイソン・グリーンウッド、ダニエル・ジェイムズといった逸材を揃えている。夏の市場でジェイドン・サンチョ(ドルトムント)だけはなんとしても手に入れ、強化とさらなる若返りを図る予定だ。

こうしてサンチェスの選択肢は、またしてもローンしかなくなった。週給37万5000ポンド(約5000万円)が災いし、2019-20シーズンの夏も買い手がつかなかった。ユナイテッドが放出したくても契約は22年6月までだから、構想外に高給を支払うしかない。きつい言い方をすると、無駄飯食らいなんだな。

鬱屈とした現状を打破するために

プロなのだから高給にこだわるのは当然だ。まして所属はユナイテッド。ステイタスの欠片はまだ持っている。一方、プロはピッチに立ってなんぼ、という考え方もある。構想外なんてプライドが許さない。

「環境に馴染めなかったり、ケガが続いたり、近ごろのサンチェスはツキにも見放されている。彼の実力はだれもが認めるところだし、プライドも高い。受け入れがたい現状だ」

こう語るのは、チリ代表のレイナルド・ルエダ監督だ。

プライドが高いのなら、ユナイテッドとの契約を打ち切ればいい。「若輩どもの後塵を拝することに我慢ならない」と、自分に素直になるべきだ。そして大幅減給を覚悟に、サンチェスの個性を、ベテランを必要としているクラブを選択する。これが最も好ましいプランじゃないかな。

コロナ禍で経済が疲弊しているいま、ユナイテッドと同額を支払えるクラブはなく、25~30%のダウンも想定すべきだ。しかし、まだ31歳。チャラチャラできる歳じゃないけれど、公園でゲートボールにいそしむには早すぎる。強引なドリブルを、DFを無力にするテクニックを、われわれフットボールファンはまだまだ堪能したいよね。

パリ・サンジェルマンのエディンソン・カバーニ、チェルシーのウィリアン、ドルトムントのマリオ・ゲッツェなど、今シーズン限りでフリートランスファーとなるビッグネームも少なくないので、移籍金が発生するサンチェスの案件は交渉が停滞するだろう。イラッとする日々が続く。それでも、鬱屈とした現状を打破するには、やはりユナイテッドから脱出するしかないじゃん。

サンチェスほどの男がローンを繰り返しているようじゃダメだ。新しいチャレンジへ、腹を据えよう。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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