プロなのだから高給にこだわるのは当然だ。まして所属はユナイテッド。ステイタスの欠片はまだ持っている。一方、プロはピッチに立ってなんぼ、という考え方もある。構想外なんてプライドが許さない。
「環境に馴染めなかったり、ケガが続いたり、近ごろのサンチェスはツキにも見放されている。彼の実力はだれもが認めるところだし、プライドも高い。受け入れがたい現状だ」
こう語るのは、チリ代表のレイナルド・ルエダ監督だ。
プライドが高いのなら、ユナイテッドとの契約を打ち切ればいい。「若輩どもの後塵を拝することに我慢ならない」と、自分に素直になるべきだ。そして大幅減給を覚悟に、サンチェスの個性を、ベテランを必要としているクラブを選択する。これが最も好ましいプランじゃないかな。
コロナ禍で経済が疲弊しているいま、ユナイテッドと同額を支払えるクラブはなく、25~30%のダウンも想定すべきだ。しかし、まだ31歳。チャラチャラできる歳じゃないけれど、公園でゲートボールにいそしむには早すぎる。強引なドリブルを、DFを無力にするテクニックを、われわれフットボールファンはまだまだ堪能したいよね。
パリ・サンジェルマンのエディンソン・カバーニ、チェルシーのウィリアン、ドルトムントのマリオ・ゲッツェなど、今シーズン限りでフリートランスファーとなるビッグネームも少なくないので、移籍金が発生するサンチェスの案件は交渉が停滞するだろう。イラッとする日々が続く。それでも、鬱屈とした現状を打破するには、やはりユナイテッドから脱出するしかないじゃん。
サンチェスほどの男がローンを繰り返しているようじゃダメだ。新しいチャレンジへ、腹を据えよう。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。
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