バルサを苦しめるイニエスタ不足 “2人目のドリブラー”失って落ちる攻撃の質

バルセロナ時代のイニエスタ photo/Getty Images

後継者見つからぬままメッシに負担集中

数年前のバルセロナならば考えにくい事態だが、今季のバルセロナはシュートチャンスを生み出すのにかなり苦労している。

チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦1stレグでは自陣に引いたナポリ攻略に手を焼き、リーグ戦でもクラシコで2試合連続の無得点に終わる屈辱を味わった。7日のレアル・ソシエダ戦もVARで得たPKで何とか1点をもぎ取って勝利を収めるなど、今季のバルセロナは何かがおかしい。

ウスマン・デンベレ、ルイス・スアレス離脱の影響もあるだろう。本来であればアントワーヌ・グリーズマンとリオネル・メッシを加えた4人衆で相手守備陣を破壊する予定だったのだ。そのプランが崩れ、今はメッシが1人でチャンスメイクからフィニッシュまで奮闘する状況となっている。

もちろん前線のピースが崩れたことも苦戦の理由だが、それ以上に今季目立つのがMF陣のクオリティ低下だ。セルヒオ・ブスケッツ、アルトゥール・メロ、イヴァン・ラキティッチ、今季より加入したフレンキー・デ・ヨングと、中盤で器用にボールを繋げるパサーは多く揃っている。しかし、アンドレス・イニエスタの役割をこなしてくれる選手がいない。

イニエスタは中盤でビルドアップに関与する役割に加え、ファイナルサードへ顔を出して決定的なラストパスやシュートを放つ仕事もこなしてきた。メッシにとっては頼れる相棒であり、メッシとイニエスタのワンツーで相手守備陣を攻略するシーンはバルセロナサポーターが何度も見てきた光景だ。そのイニエスタもチームを去り、今のバルセロナには中盤からメッシと絡んでくれる人材が枯渇している。

イニエスタの場合はウイングもこなせるほどの突破力を1つの武器としており、バルセロナ時代も数多くのドリブルを成功させてきた。例えば2010-11シーズンのリーグ戦データを振り返ると、バルセロナで最もドリブルを成功させたのはメッシで186回だ。それに続くのがイニエスタで、84回も成功させている。メッシとは差がついているが、イニエスタは何度もチーム内ドリブル成功数2位になってきた。つまりはメッシに次ぐNo.2のドリブラーだったのだ。

2013-14シーズンも81回成功させて2位、2012-13シーズンも69回で2位、バルセロナでの最終シーズンとなった2017-18シーズンも63回成功せて2位だった(データは『WhoScored』より)。このドリブルはチームに推進力を与えることになり、チャンスメイクの部分でメッシの負担も減る。イニエスタが抜けた穴は想像以上に大きいと言える。

今季もデ・ヨングがここまでドリブル成功数41回と奮闘しているが、キーパス数(シュートへ繋がるパス)は1試合平均0.9本と多くない。イニエスタは2010-11シーズン平均1.6本、2013-14シーズン1.5本、2012-13シーズン1.4本と、よりチャンスを演出できていた。デ・ヨングは相手のプレスをいなし、パスを繋いで攻撃にリズムを生み出していく部分でドリブルを駆使しており、自らペナルティエリア付近まで持ち込むようなプレイは少ない。どちらかといえばシャビ・エルナンデス2世、ブスケッツ2世と表現すべき選手だ。

バルセロナも2018年の冬にリヴァプールからMFフィリペ・コウチーニョを獲得し、イニエスタ役をこなせそうな人材を加える努力はした。しかし、これが大失敗に終わってしまった。イニエスタの穴埋めが完了しないまま戦いを続けており、中盤のクオリティは明らかに落ちている。メッシの後継者探しもミッション・インポッシブルだが、イニエスタもそれに近いものがある。真のイニエスタ2世と呼べる選手は世界中を探しても見当たらない。

メッシ、スアレス、ネイマールのMSNトリオが猛威を振るった2014-15シーズンより、バルセロナはどこか前線の攻撃ユニットが全ての中心となったところがある。デンベレ、スアレスが揃っていれば、今も前線の選手だけでチャンスメイクからフィニッシュまでこなすことも可能だろう。しかし、バルセロナ本来の強みは中盤にあった。イニエスタの穴埋めは今後もそう簡単には実現しないはずで、副官を失ったメッシの負担が増すばかりとなっている。

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