MATCH 53 決勝トーナメント1回戦
2022年12月5日 18:00キックオフ(会場:アル・ジャヌーブ・スタジアム)
日本 1-1 (PK1-3)クロアチア
日本サッカーが迎えた4度目のラウンド16である。この壁は厚くて高く、過去いずれも跳ね返されてきた。最初はトルコにいなされてなにもできず、2度目はパラグアイの老獪さにかわされて勝ち切れず、3度目はベルギーに強者の力をみせつけられた。
4度目の相手は前回大会準優勝のクロアチアで、ルカ・モドリッチ、イヴァン・ペリシッチ、マルセロ・ブロゾビッチ、デヤン・ロブレンなど経験&実績ともに十分な選手が多い試合巧者である。ノックアウトラウンドでの粘り強さは折り紙つきで、4年前はラウンド16から3度の延長戦を制して決勝に進出した国である(うち2試合がPK戦)。しかし、目標に掲げる新しい景色を見るためには、どうしてもこの壁を越えなければならなかった。
会場であるアル・ジャヌーブ・スタジアムはドーハからバスで南へ約45分(高速&渋滞なし)のアル・ワクラにある新設されたスタジアムで、これまでドーハ近郊で過去に試合経験があるスタジアムで戦ってきた日本にとって初の中距離移動となった。とはいえこれはクロアチアも同じでお互いにはじめてのスタジアム。ドイツかスペインが勝ち上がると予想してこの試合のチケットを手配していたお客さんも多く、どこか空気がフワフワしていて試合前からなんとなくいままでと異なる雰囲気が漂っていた。
いざ試合がはじまると、スタジアム全体が固唾を飲んで目の前の戦いを見ていた。両国のサポーターはさほど多くなく、ずっとチャントが鳴り響いているわけではない。とくに前半は静かに、緊迫した展開を見守る者が多く、立ち上がりから重たい空気に包まれていた。
それでも、両チームにチャンスがあった。8分、冨安健洋のバックパスが弱くなり、ペリシッチにカットされてGKと1対1に。権田修一のビッグセーブがなければ、またも追いかける展開になっているところだった。
一方、守備時[5-4-1]、攻撃時[3-4-2-1]になる布陣で臨んだ日本は、前半終了間際に立て続けにチャンスを作り出した。41分の決定機は鎌田大地がゴール枠内をとらえきれなかったが、43分につかんだCKのチャンスをモノにした。デザインされたショートコーナーから堂安律がクロスを入れ、吉田麻也から前田大然へとつないで先制点を奪う。張り詰めた空気が崩れ、ようやくスタンドが大きく沸いた瞬間だった。
しかし、これで試合が大きく動くことはなかった。なにしろ、クロアチアは試合巧者である。後半からはそのことをまざまざとみせつけられる展開となった。