過去にはNEXTジダンとも称されていたベンゼマ
チャンピオンズリーグ準決勝の大舞台。先日行われたオサスナ戦での2度のPK失敗。決めれば1点差でホームの2ndレグを迎えられる状況。そういったプレッシャーを跳ね除け、レアル・マドリードのカリム・ベンゼマはマンチェスター・シティの名手エデルソン・モラレスからパネンカと呼ばれるチップキックのPKで見事にゴールを奪った。
このPKで見えたのはベンゼマの恩師であり、同郷のレジェンドでもあるジネディーヌ・ジダンの影だ。
2006年ワールドカップ・ドイツ大会。フランス代表のジダンは引退を公言してこの大会に臨んだ。グループステージでは調子が上がらなかったものの、試合を重ねるごとに真の実力を発揮し始め、フランス代表はイタリア代表との決勝まで勝ち進んだ。
現役最後の試合となるこの決勝で、ジダンは世界に大きな衝撃を与えた。結果的には延長後半に入ってからマルコ・マテラッツィに食らわせた頭突きが話題をかっさらってしまったが、試合早々に獲得したPKを今回のベンゼマと同じようなパネンカで決めてみせたのだ。
今回のシティ戦でベンゼマがこの時のジダンを思い出していたのかは定かではないが、過去には大舞台でPKを蹴る際に、この時のジダンを思い出していた選手もいる。2018年ワールドカップ・ロシア大会決勝の試合に出場したフランス代表アントワーヌ・グリーズマンだ。
フランスが4-2でクロアチアから勝利をおさめたこの試合、前半38分にはグリーズマンが勝ち越しとなるPKを決めている。スペイン『MARCA』によれば、このPKを蹴る際、グリーズマンは「ジダンのようにパネンカで蹴ることも考えた」と明かしている。結果的にグリーズマンはゴール左隅にグラウンダーのボールを蹴り込んだわけだが、2006年のジダンのPKは今なお選手たちに影響を与え続けているのだ。
決勝に進むのはレアル・マドリードか、マンチェスター・シティか。ジダンさながらのパネンカでPK失敗の不安も払拭したベンゼマが、2ndレグでも勝負の鍵を握る可能性は高い。