カンセロら不在も左SBが“ストロングポイント”に 加入後最高のパフォーマンスを披露したジンチェンコの凄さ
カンセロの不在を見事に埋めて見せたオレクサンドル・ジンチェンコ photo/Getty images
シーズンが進むにつれてコンディションを上げている
多くの注目を集めたマンチェスター・シティ対レアル・マドリードのCL準決勝1stレグは開始早々、先制点を挙げたシティがリードを保ち最終的に4-3と勝利を挙げている。決定機を決めきれない場面も目立ったが、それでも4ゴールと大量得点を奪っており、2ndレグに向けてこの攻撃での手ごたえは彼らに自信をもたらすことになるだろう。
そんなシティ戦だが、意外な人物の活躍が目立った。オレクサンドル・ジンチェンコである。彼の実力であればこのゲームでの活躍も予想できたが、今季は母国ウクライナのロシア軍侵攻のこともあってコンディションが安定せず、プレミアでは10試合の出場にとどまっている。出たとしてもパフォーマンスは良いものではなく、昨季の素晴らしかったウクライナ代表MFをしばらく見られていなかったが、このレアル戦では人が変わったかのように躍動。アシストを記録し、チームの勝利に貢献している。
特に素晴らしかったのは、ボールを持った際の攻撃の前進のさせ方だ。リヴァプールとのFAカップではパスの精度、アイデア、動き出しと足りないものが多すぎたジンチェンコだが、レアル戦は左サイドでケビン・デ・ブライネ、フィル・フォーデンと共に崩しに加わっており、2本のキーパスを記録している。今季これまでの試合ではミスをしないための安定したプレイが目立っていたが、レアル戦では自分が試合を決めてやるぞという心意気が感じられるシーンが多かった。4点目のベルナルド・シウバのゴールではジンチェンコが高い位置までボールを運び、トニ・クロースをかわしたところでこぼれたボールを拾い最後はシウバがスーパーゴールを沈めている。ジンチェンコのゴールではないが、運んでかわすという強気な選択肢を取ったジンチェンコが効いた場面である。
守備面ではカリム・ベンゼマに仕事をさせてしまい1失点目を許すことになったが、サイドでの対人では強さを見せている。地上戦でのデュエルでは3戦2勝、インターセプト3回、タックル2回とスタッツは非常に優秀であり、加入後最もパフォーマンスのよかった試合といっても過言ではないかもしれない。
英『90min』では「信頼できる守備を見せ、攻撃時はアタッキングサードで違いを作った」と高評価を得たジンチェンコ。2ndレグではジョアン・カンセロが出場停止明けで戻ってくることになり、カイル・ウォーカーも負傷から復帰するのではとの予想が多い。そうなれば再びベンチに回ることになるのだが、左であればカンセロとも張り合えることを証明したレアル戦であったことは間違いないだろう(データは『SofaScore』より)。