久保建英、鎌田、三笘らはどうなる? W杯で日本の2列目が最優先すべきは“守備”だ

W杯本大会で超危険なグループに入った日本代表 photo/Getty Images

森保ジャパンは守備の堅さを最終予選で見せてきた

イラン、韓国、日本はアジアの戦いになれば強豪と見られるが、ワールドカップ本大会では格下の立場になってしまう。ここがアジア勢の難しいところで、アジア最終予選とワールドカップ本大会では戦い方をガラリと変えなければならないこともある。

残念ながらカタール大会で日本代表は守備の時間が長くなるだろう。スペイン、ドイツと同居するグループになってしまい、両チームとの試合で日本側がボールを支配する展開は予想しづらい。それこそ60%ほど相手にボールを支配される展開も想定しなければならない。

グループ突破へのキーワードは、攻撃ではなく『守備』だ。最終ラインと中盤はもちろんだが、前線の選手にも守備に動けるプレイヤーを配置するのが無難だろう。
その点において右の伊東純也、中央と左サイドを担当することの多い南野拓実は森保一監督の中でも絶対のファーストチョイスになる。南野は海外での経験から攻守の切り替え意識が極めて高くなっており、それは現在所属するリヴァプール指揮官ユルゲン・クロップが求めているところでもある。守備のタスクを任せられるアタッカーだ。

伊東の場合は爆発的なスピードがあるため、守備で出遅れてもスピードでカバーできるところがある。それは最終予選でも存分に発揮しており、スピードのある前田大然や浅野拓磨といった選手は守備面でも計算しやすい。PSVでプレイする堂安律もパワーがあり、それを活かした守備がオランダでも評価されている。

一方で久保建英、鎌田大地、三笘薫、最近の招集メンバー以外であれば中島翔哉、奥川雅也といったアタッカーを先発起用するのは少々ハードルが高いかもしれない。全員攻撃面では特別な才能を持っているが、ドイツ戦とスペイン戦では攻撃の機会そのものが限られるはず。2列目の選手で最優先すべきは守備である。

来季のレアル・マドリード合流が噂される久保に関しては、レアル専門メディア『The Real Champs』も守備が弱点の1つだと指摘している。前線からプレスをかけるのは上手いが、自陣まで相手のサイドバックを追いかける守備は得意分野ではないと評しているのだ。

久保や鎌田はボールを保持してこそ良さを発揮する選手で、守備に追われる展開では持ち味を発揮しづらい。ワールドカップでは起用法を慎重に考える必要がありそうだ。

ただ、森保監督もそこは想定しているはず。現在の代表も2列目の守備意識は高く、ここは森保監督も本大会を見据えてこだわってきたポイントのはずだ。仮に久保や三笘をベンチに置いたとしても、勝負所で彼らをジョーカーとして起用するプランも想定しているだろう。この守備から攻撃への切り替えポイントがドイツ戦、スペイン戦を制するカギとなるのは間違いない。まさに総力戦でなければ両国とは戦えない。

日本は今回のアジア最終予選で苦戦を強いられたところもあったが、守備の部分は安定していた。チーム得点数こそ12得点に留まったが、失点は4点に抑えている。この失点数は前回のロシア大会、その前のブラジル大会へ向けた最終予選よりも少ない数字となっている。守備の部分では選手たちも一定の手応えを掴んでいるのではないか。

また今回のアジア最終予選は3ゴール以上奪えたゲームは1つもなかったが、そのぶん接戦には慣れている。スペインやドイツ相手に大量得点を奪うシナリオは考えにくく、この最終予選での経験を活かせるところはあるはずだ。粘り強く守り、どこかで1点を奪うしかない。

果たして日本の全員守備はドイツ、スペインのような世界のトップにも通用するのか。そこで耐えることができなければグループ突破の道はなく、守備が何よりのキーワードとなりそうだ。

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