今季のユヴェントスの戦いを見ていくと、黒星はチャンピオンズリーグ・グループステージ第2節のバルセロナ戦のみだ。相手がバルセロナであったことを考えると、黒星も仕方がないところはある。ただ、黒星が1つでも指揮官アンドレア・ピルロには疑問の視線が向けられている。
リーグ戦の方では無敗を維持しているものの、4勝5分と勝ち切れないゲームが目立つ。2010年代のセリエAを支配してきた王者にふさわしくないスタートなのは明らかだ。これ以上引き分けが続くようでは、ピルロの立場も危なくなってくる。
ではユヴェントスに何が足りないのか。非常にシンプルな答えを挙げるなら、FWクリスティアーノ・ロナウド頼みになっている点か。11月28日にはベネヴェント相手に1-1で引き分けてしまったが、このゲームをロナウドは欠場している。ロナウドがいれば複数得点を奪って勝ち切れたかもしれない。
今季ロナウドは新型コロナウイルスの影響で欠場したゲームもあり、ユヴェントスがロナウド抜きで戦ったゲームは全部で5試合。その内訳は1勝3分1敗。奪った得点数は僅か5点だ。
一方でロナウドが出場した7試合は5勝2分を記録。得点も18点奪うことが出来ており、7試合で18得点はまずまずの数字と言えるだろう。ただし、そのうちロナウドが奪った得点は半分の9点だ。ロナウド頼みと指摘されても文句は言えないだろう。
やはりペナルティエリア内でのパフォーマンスでロナウドに勝るアタッカーはユヴェントスに存在せず、ロナウドがいればペナルティエリアへボールを放り込むだけで得点の気配が漂ってくる。パウロ・ディバラ、アルバロ・モラタらだけでは不十分ということなのだろう。
ピルロはややロナウド依存気味になっている攻撃部分を変えていかなければならない。例えば首位を走るミランと比較した場合、ミランはここまで全てのコンペティションを合わせると13選手が得点を奪っている。11得点を挙げているFWズラタン・イブラヒモビッチの存在が目立つが、ブラヒム・ディアスやラファエル・レオン、イェンス・ペッター・ハウゲ、アレクシス・サレマーカーズなど若手アタッカー陣も複数得点を挙げるなど奮闘している。
対してユヴェントスは6選手しか得点を奪っていない。それも9得点のロナウド、8得点のモラタに集中しており、複数得点を挙げているのはこの2人と2得点のデヤン・クルゼフスキのみ。これでロナウドが抜ければ得点力がガクリと落ちるのは当然だろう。
ピルロは攻撃のバリエーションを増やしていけるのか。リーグ制覇とチャンピオンズリーグ制覇の両方を目指すならば、35歳のロナウド1人だけに頼る形では無理があるだろう。