まさにバルセロナの絶頂期だった。2008-09シーズンに始まった快進撃は2010-11シーズンまで続いた。このシーズン、バルセロナの勝ち点は96。30勝6分、わずか2敗だった。
2位のレアル・マドリードは名将ジョゼ・モウリーニョを招聘して覇権奪回を狙ったものの、黄金期を築いていたバルサを打ち崩すのは不可能なミッションだった。
特に衝撃的だったのは、バルサがレアルを5-0で粉砕した一発目のクラシコ。このシーズン、最終的にリーグ最多の102ゴールを奪うレアルだが、バルサ相手には全く歯が立たず完封負けを喫している。この試合がシーズンの全てを物語っていたと言っても過言ではない。
CLでも決勝でマンチェスター・ユナイテッドに完勝し、ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で2度目の戴冠。スコアこそ3-1だったが、その年のプレミア王者を相手にバルサは内容で圧倒していた。
リオネル・メッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ブスケッツといったカンテラ出身者を中心に完璧なパスワークを披露した彼らは、ラ・リーガのみならずフットボールの歴史においても特筆すべきスーパーチームだった。そんなバルサの黄金期で、この10年史は幕を開ける。
あらゆるタイトルを獲りまくったバルサだが、続く2011-12シーズンはグアルディオラ監督になって初めて優勝を逃し2位に終わった。
指揮官は新加入のセスク・ファブレガスとメッシを縦関係で組ませる「ダブル偽9番」など、斬新なシステムをいくつか採用。だが、最終的に負傷者が続出して失速。それでも91ポイントは十分優勝を狙える勝ち点だった。
しかし、その上を行ったのが100ポイントを積み上げたレアル。前シーズン、「クワトロ・クラシコ」であらゆる対策を講じながらもバルサに勝ち越せなかったモウリーニョのチームは、彼らに劣らない攻撃力を発揮することでライバルをねじ伏せることに成功した。
モウリーニョ監督のレアルは、前衛的なバルサに比べるとオーソドックスだが、そのぶん手堅く、隙のない、モウリーニョらしいチームだった。
3位は前シーズンに続いてバレンシア。4位に躍進したマラガはカタール王室の一員であるシェイク・アル・タニが会長となったことで大補強を敢行。ビジャレアルから獲得したサンティ・カソルラが大活躍している。カソルラを引き抜かれたビジャレアルは4位から18位へ転落、まさかの降格となった。
2012-13シーズンは、今度はバルセロナが勝ち点100を獲得して優勝。2位レアルは85ポイントと、大差がつく結果となった。チームを率いたのはグアルディオラ退任後にコーチから昇格したフランセスク・ビラノバ。しかし、メッシへの高すぎる依存度を軽減できず、リーガでは危なげなく優勝したものの、CLではバイエルン・ミュンヘンに2戦合計0-7と大敗を喫することに。このシーズンこそ、2008年から続いたバルサの偉大なサイクルの終焉を思わせる1年だったと言える。
レアルもモウリーニョ監督と中心選手の間での確執が表面化。加えて、無冠に終わったことでモウリーニョはシーズンオフに事実上の解任となった。バルサとレアルの2強が停滞したこのシーズン、その間に躍進の下準備を済ませたのはアトレティコ・マドリードだ。3位に躍進した彼らはディエゴ・シメオネ新監督の下、プレッシングとカウンターアタックのスタイルを確立した。