[MIXゾーン]スタイルを貫く横浜FM ミスがあってもポステコグルー監督はブレない

横浜FMは今季も変わらぬ攻撃的サッカーを見せる photo/Getty Images

自分たちのサッカーをするために、勇敢な気持ちを持つことが大事

2020年Jリーグの開幕を告げる富士ゼロックススーパーカップが2月8日に行われ、PK戦のすえ天皇杯王者の神戸がJリーグ王者の横浜FMを下して優勝を飾った。この試合について、「プレシーズンのゲームをしているような感じを受けた」と試合後に表現したのは横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督だ。

厳しい言葉のように聞こえるが、たしかに前半の横浜FMはパスがうまく繋がらず、ミスが多かった。新加入のオナイウ阿道を前線に配置し、エリキを左サイドに起用する“2020年バージョン”がまだまだ不慣れだったことだけが原因ではない。なにしろ、ビルドアップの起点となる最終ラインでのパスワークでミスが発生していた。

「前半45分は、まったくもって自分たちのサッカーができていなかった。ナーバスになっていて、自信を持ってパスを出せていなかった。エラーで失点した部分もあった。後半になってようやく自分たちのサッカーができていたが、あのようなサッカーをすることが大事で、この試合からしっかり学んでいかないといけない」
ポステコグルー監督のもと横浜FMが指向するサッカースタイルは攻撃的な一方で、すでにJリーグ各チームから十分にスカウティングされている。相手に対策されているのは監督就任1年目の2018シーズンから見て取れたが、それでも真っ直ぐに強化を続け、昨シーズンに優勝するに至っている。しかし、この日の神戸戦、とくに前半はビルドアップの初期段階にプレスをかけられ、リズムを掴むことができなかった。今シーズンに向けて不安を抱いてもおかしくないが、指揮官はまったく意に介していなかった。

「対戦相手がどこだろうが、一番大事なのは自分たちのサッカーができるかどうか。神戸には能力の高い選手がいてわれわれに対していろいろなことをやってきたが、問題はそこではない。自分たちがどう戦うかがポイントで、試合をコントロールできなければ前半のような展開になる。大事なのは、試合をコントロールして自分たちのサッカーをすることにある」

積極的に挑戦した結果のミスは、次に繋がる──。よくこうした言葉を聞くが、ポステコグルー監督もこの考えの持ち主で、なにかを成し遂げようとしている段階でミスが発生するのは仕方ないことだと受け止めている。

「一人一人をみれば、人生でもサッカーでも必ずミスがある。私にとって個人のミスはまったく見るところではなく、自分たちがどういうサッカーをやっていくのかを学ばないといけない。われわれは自分たちのサッカーをやるなかで、どうしてもミスが出やすくなる。そこではなく、前半にナーバスになったことが今日の修正点で、学ばなければならない。自分たちのサッカーをするためには、勇敢な気持ちを持つことが大事。そういう部分を見ながら、次に向かっていこうと思う」

揺るぎない信念を持つポステコグルー監督に率いられた横浜FMが、一試合の結果に一喜一憂することはない。自分たちのスタイルに自信を持ち、ACLも含めて複数のタイトルを見据えて今シーズンもブレることなく戦っていく。

取材・文/飯塚 健司

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