カビだらけの練習場に不衛生なトイレ、劣悪環境でも欧州4強進出 “老朽スタジアム”で戦うスペインのエレベータークラブに注目

ファンと共に戦うラージョ Photo/Getty Images

下町の逆襲劇

スペインのラ・リーガに、環境の悪さを跳ね除けて快進撃を続ける驚異のクラブがある。ラージョ・バジェカーノだ。木曜夜に行われたカンファレンスリーグ準々決勝でAEKアテネを撃破し、クラブ史上初となる欧州ベスト4進出の快挙を成し遂げた。

しかし、その華々しい結果の裏側には、プロの舞台とは思えない過酷な現実が隠されている。本拠地エスタディオ・デ・バジェカスは、コンクリートが崩れ、トイレは汚れ、練習場にカビが生えるといった「ラ・リーガ最悪」とも称される劣悪な施設状況に直面しているのだ。『THE Sun』が伝えている。

あまりのひどさに、今年2月には選手とスタッフが連名で抗議文を提出する異例の事態に発展したようだ。内容は「シャワーからお湯が出ない」「清掃が行き届いていない」「ピッチがプレー不可能」といった切実なものばかりだという。SNSでは鳥のフンまみれの記者席や、茶色いシミが付いた観客席の惨状が拡散されている。それでも、マドリードの労働者階級が住むバジェカス地区に根付くこのスタジアムは、周囲をアパートに囲まれた唯一無二の熱狂的な空間として知られ、かつてフェデリコ・バルベルデのシュートが民家のベランダに飛び込んだ逸話でも知られている。
ピッチ外では、スタジアム移転を画策するラウル・マルティン・プレサ会長と、伝統ある聖地を守りたいファンとの間で激しい対立が続いているという。会長は批判的なファンを罵倒し、「公共の敵」として激しい非難を浴びる日々が続く。降格圏までわずか3ポイント差とリーグ戦では苦戦を強いられているが、同紙によれば欧州の舞台での賞金はすでに1400万ポンドに達しているという。サポーターたちは、この血のにじむような戦いで得た資金が、新スタジアム建設ではなく、愛する老朽施設の修繕に使われることを切に願っていると同紙は指摘している。

恵まれた環境で戦う強豪クラブを尻目に、お湯すら出ない窮地から欧州の頂点を狙うラージョの姿は、サッカーのロマンそのものだろう。準決勝で戦うストラスブールを下せば、夢の決勝進出。バジェカスの雑草たちが欧州の舞台で大輪の花を咲かせる瞬間に、世界の注目が集まっている。

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