日本代表のビルドアップはどこまで通用するのか 「世界最高峰」と対戦する際に必要なハイプレスへの対応策

吉田麻也をはじめとする最終ラインがどこまで相手のハイプレスをかわせるかにかかっている photo/Getty images

アジアで日本がハイプレスを受けることは少ない

日本代表は先日のアジア最終予選をグループBの2位で勝ち抜けており、ワールドカップ・カタール大会行きを決めた。すでにグループステージの組み合わせも発表されており、スペイン代表、ドイツ代表、プレイオフの勝者と同組のグループEになった。本番は11月であり、それまでに調整を目的とした親善試合は6試合が予定されている。

このテストゲームが非常に重要となるのだが、どうやらブラジル代表との対戦カードが組めるようだ。ブラジルはFIFAランキングでベルギーを抜いて1位となっており、グループステージで対戦するスペインとドイツとは少し色が違うのだが、本選を前に「世界最高峰」を肌で感じられるのであれば、それは素晴らしいことだ。

そこで大事になるのは、ハイプレスへの対応と押し込まれた際の守備力、そこからどうやって攻撃につなげるかの3つになる。日本代表はアジアでいえばブラジルのような強豪国であり、ボールを支配して戦うことが多く、アジア最終予選ではそういった試合が目立った。そうなれば必然的に相手を崩すことが考えの中心となるが、舞台が世界となればその立場は一変し、日本が守勢に回る試合が多くなる。そうなると考え方が真逆となり、前述した3つの能力が必要となる。

守備に関しては日本代表が最も得意とする分野であり、冨安健洋をはじめ酒井宏樹や長友佑都など、名のある守備者が揃っている。190cm近い選手も複数おり、未招集の伊藤洋輝も呼べば高さという点では十分に世界と渡りあうことはできる。

だが、そこからのビルドアップはどうだろうか。基本的に押し込まれた際はボールを奪った後の動きが重要であり、前線に一気にロングフィードを送るのか、自陣で勇気をもってつなぐのか、素早い判断が必要となる。ロングフィードを蹴れば自陣のゴールからボールを遠ざけることができ、失点を避けるのであればこれがベストだが、今の代表には前線でボールを収められる選手がいない。セカンドボールを拾われれば再び押し込まれる守備となり、形勢は変わらない。であれば、勇気をもって自陣からつなぐことになる。前述した冨安や板倉滉はビルドアップのレベルは高く、クラブでもそういった実力を買われてスタメンに選ばれている。

ハイプレスをかわすことで攻撃を前進させられるというのはCL決勝トーナメントラウンド8ビジャレア対バイエルン・ミュンヘン戦でビジャレアルが証明している。ボール保持率38%と低い数字となったが、自陣でボールを奪うことができれば一気に蹴りだすのではなく、つないで自分たちの時間を作る。そこからサイドチェンジを駆使してフィニッシュまで持っていく。幸い日本代表の中盤には守田英正という攻守両面で輝ける選手がおり、伊東純也、三笘薫とそこからボールを受けて個で突破できる選手がいる。彼らがブラジルやスペイン、ドイツにどこまで通用するのかは分からないが、彼らにボールを供給するのは最終ラインの選手の役目だ。守備者から前線にボールが入らなければ何も始まらない。攻め込まれても混乱せず、ボールを奪えばクレバーにつないで前線にパスを出す。これができなければ攻め続けられ、難しい90分となるだろう。

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