[PREMIER英雄列伝 #01]C・ロナウドを支え続け、ベッカムとは以心伝心 G・ネビルこそがユナイテッド史上最高の右サイドバックだ

並み居るアタッカー相手でも決して引かなかった

並み居るアタッカー相手でも決して引かなかった

ユナイテッド史上最高の右SBとの呼び声が高いネビル。体躯や身体能力に恵まれているわけではないが、プレミア史に残る名選手だ photo/Getty Images

「てめぇ、どこに突っ立ってやがんだ!」

「邪魔なんだよ、この若造が!」

 酷い言われようだった。2003年、スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した当初のクリスティアーノ・ロナウドは、なにかにつけて口うるさいアラン・スミスやキャプテンのロイ・キーンに、何度となく罵声を浴びせられている。現代社会なら、ハラスメントだと大騒ぎになるような表現も、筆者は耳にした。

 ただ、当時のC・ロナウドはたしかに邪魔で、得点源だったルート・ファン・ニステルローイとの距離感を測れずに苦しんでいた。

「戻ってくるな。サイドに張っていろ」

「中に絞れ。ファン・ニステルローイに近づきすぎるな」

 キーンやスミスとは異なり、的確にアドバイスでフォローしていたのがガリー・ネビルである。後にユナイテッドのキャプテンに就任。C・ロナウドの “コントローラー” としても高く評価された右サイドバックだ。

 アップダウンを繰り返すタイプではなく、フィードも正確だが精巧のレベルではない。しかしネヴィルは状況判断に優れ、プレミアリーグの並み居るアタッカーとの一対一でも決して引かなかった。

 また、C・ロナウドが加入する以前は、デイビッド・ベッカムと以心伝心。絶妙のポジショニングでパスを受けたり、大外を走って相手の立ち位置を幻惑したり、ベッカムとの好連携で右サイドに異彩を放っていた。

「切っても切っても切れない存在」

 ユナイテッド・ユースから苦楽をともにしたベッカムも、ネビルには感謝している。ちなみに彼らはプライベートでも親しく、ベッカムの結婚式で介添え人を務めたのが、ほかならぬネビルだった。

ネビルの活躍は努力の賜物 恩師サー・アレックスも絶賛

ネビルの活躍は努力の賜物 恩師サー・アレックスも絶賛

同い年のベッカムと一緒に、初めてシーズン通して主力として活躍した1995-96シーズン。リーグ制覇を成し遂げ、盟友と喜びを味わう photo/Getty Images

 歴代ベストイレブンの選定は個人差があり、あくまでも筆者の私見ではあるが、ユナイテッドの右サイドバックはネビル以外に考えられない。

 実弟フィル・ネビルは器用貧乏に終わり、アーロン・ワン・ビサカとラファエウ・ダ・シウバはプレイが軽すぎる。アントニオ・バレンシアは全体的に雑で、ウェズ・ブラウンは1シーズンしか輝けなかった。

 特筆すべきスピードはなく、体躯に恵まれたわけでもなかった。身長は公称180センチだが、実際は5~6センチ低い。それでもネビルがユナイテッド史上最高の右サイドバックに位置しているのは、努力の賜物である。

 晩年はケガに苦しみ、ベンチに甘んじるケースが多かったものの、ユナイテッドで602試合に出場した。34歳でイングランド代表に返り咲いた精神力も素晴らしい。

 練習ではだれよりも汗を流した。対戦相手の研究も熱心だった。そしてなにより、心底ユナイテッドを愛していたのである。

「ガリーはポール・スコールズ、ライアン・ギグスと並ぶユナイテッドの魂だ」

 恩師サー・アレックス・ファーガソンのコメントからもネビルの凄さがうかがい知れる。

 あえてもう一度断言しよう。ユナイテッド史上最高の右サイドバックは、ガリー・ネビルである、と──。

文/粕谷 秀樹

※電子マガジンtheWORLD261号、9月15日配信の記事より転載

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