[MIXゾーン]喉から手が出るほど欲しかったG大阪の勝点3 一方で徳島の明るい未来も見えた

G大阪はようやくホームでの勝利を手にした(写真はイメージ) photo/Getty Images

G大阪は初のホームでの勝利

「1対1の局面が多くなるのでその1対1の局面をしっかりと勝って、奪って出ていくというシンプルなことを選手たちに伝えていた」

 G大阪の松波監督は徳島の徹底したパス展開を防ぐために、局面の激しさで対応することを強調した。確かに前半は局面でG大阪が競り勝つことが多く、意識づけがチームに浸透した結果だろう。同時にこの試合では3バックを導入。これまでの4バックではSBの人材難が顕著だっただけに、その対策に手を打った形だ。

 これにはCBキム・ヨングォンの起用に目処が立ったことが大きい。

「(キムは)なかなか今季キャンプも途中から入ってきたり、途中で代表に抜かれたりでなかなかコンディションが整わない中で少し時間をかけてここまで調整してきて、いきなりの今年初めてのゲームだったが、さすがに韓国を代表するCBだなというのは改めて感じた」(松波監督)

 キム・ヨングォン自身も「試合前は久々なので不安もあったが、自分が思ったよりも良いパフォーマンスができ、これを維持したいと思う」と手応えを感じたようだ。

 前線もパトリックを1トップにし、2シャドーに宇佐美と倉田を並べた。ここまでスーパーサブ起用の多かったパトリックだが、前線で体を張ったプレイは素晴らしく、27分には右からのグラウンダーのクロスを見事に右足でゴールマウスへ運んだ。更に72分にも宇佐美が決勝ゴールを決めるなど、松波監督が打った手が次々と決まる形になった。複数得点は実に今季初めて。チーム、サポーターが渇望してやまなかったゴールが生まれたことで、チーム内の雰囲気を劇的に変えてくれる可能性もある。

「試合後、皆で笑顔でシャワーを浴びて帰路につけるのが、久しぶり過ぎて気持ちがいい。単なる1勝だが、この1勝が自分たちに必要なものだった。あらためてしっかりと勝点3を取ることの難しさと気持ち良さを感じることができた」

 宇佐美は言葉に安堵感を滲ませた。

 一方の徳島だが大黒柱であるMF岩尾は「ここまでぎこちないビルドアップが続く試合が続いていたが、ここ最近の試合ではボールを動かせているシーンが増えてきている。結果は伴わなかったが、相手のコートに数的優位がある方へ進んでいくという点についてはいいシーンも沢山あった。ビルドアップに関しては非常に改善していると思う」。

 シュート数自体は勝ったG大阪の5本に対して、徳島は倍以上の13本を放っている。サッカーはシュート数を争うものではないが、試合が徳島優勢であったことは事実だ。彼自身がPKを決めることになる一連のプレイは、徳島が意図している展開が繰り広げられた。

 ただしこれだけシュートを放って1得点は寂しい。

「後半になってミドルシュートを打つようになったが、人数をかけた決定機が少なかったと思う。もっとコンビネーションでシュートを打てるようなシーンを作っていく必要があると思う」(FW杉森)

 13本のシュートうち11本は後半だけで記録されている。効率性の面では非常に悪い。ただそれでも「前半は少しG大阪に押し込まれる形になったが、チームとして巻き返すことができたし、自分たちのスタイルを失わずにプレイできたことはよかったと思う。サポーターの皆さんにはこういう結果は受け入れ難いかと思うが、続けていくしかないと思う」とポヤトス監督は前を向いた。実際ピッチ内で見せたプレイは決して悲観的になる内容ではなく、むしろ明るい近未来を予想させた。

 喉から手が出るほど欲しかった勝点3を手に入れたG大阪。一時は押し込まれながらも盛り返し、しっかり自分たちのサッカーを見せた徳島。双方にとって得るものの大きい試合だった。


文/吉村 憲文

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