[MIXゾーン]物足りぬパフォーマンスでの敗戦は正当な結果 C大阪が払った大きな代償

数々の激闘が繰り広げられたヤンマースタジアムにはお別れとなった photo/Getty Images

ヤンマーで有終の美は飾れず 

「VARチェックしたんだから!」

 無観客のスタジアムに城福監督の声が響き渡った。

 問題のシーンは59分、広島ゴール前でC大阪のシュートが広島の選手の手に当たったように見えた。ただしここで笛は吹かれず、そのままC大阪が攻撃を続けたが、繋ぎのパスを広島が奪い、そこからカウンター。FWジュニオールサントスがドリブルで運ぶとスルーパス。ラインの裏に飛び出したMF浅野が角度のないところから、GKをよく見てゴールに流し込んだ。

 試合後のインタビューでは「みんなで耐えることができたので、自分も裏に抜けることができた。みんなで取ったゴール。若干暑い中、守備も攻撃も一体感持って戦えた。リーグ戦なかなか勝てててないが自分たちでブラさずにきた」と冷静に答えた浅野だった。

 が、実際のところは「マジでホンマに頼む」と思っていたという。もしハンドが認められれば、C大阪にPKが与えられ、浅野のゴールは取り消されることろだった。結局7分半にも及ぶビデオ検証の後、広島のハンドは認められず、浅野のゴールは決勝点となった。一旦判定が出たにも関わらず、C大阪としては納得がいかず、試合後のクルピ監督も「あれだけ選手たちが主張していたということは、ハンドがあったんだと思う。レフェリーの判定については正直疑問を抱いている」とコメントした。ただ一瞬だがハンドの判定を期待して、C大阪の集中力が切れたようにも見えた。判定は覆らず、C大阪は大きな代償を払うことになった。サッカーの鉄則だがセルフジャッジは絶対にしてはならない。

 試合を振り返ると広島は3バックを採用。城福監督は「自分たちは今年ずっと4バックシステムでやってきた。4バックで表現できたことと、しきれなかったことを3バックで表現したい強い思いがあった。選手の特長を自分のプレーエリアの中でアイディアを持って大胆に表現するところは、3バックも4バックもそう変わらない。守備のところは、よく縦ズレ、横ズレをしてスイッチを入れたことによって、最終ラインも安定したと思っている」と話した。

 相手の変化にC大阪は「スカウティングでは、違うシステムと選手の配置で、今日は広島が変えてきたが、1対1のところで最初は後手に回る場面もあった」(左SB新井)

 局面だけでなくシステム的なズレがチーム全体に及んだのか、C大阪は自分たちのプレイを披露することができなかった。

「残念ながら物足りないパフォーマンスに終わってしまい、内容から考えると、負けという結果も受け入れざるを得ない」

 クルピ監督のコメントが試合全般を正しく表現しているだろう。確かに決勝点の場面の判定に不満はあっても、試合内容そのものを冷静に見れば勝敗は正当なものということになる。

 ヤンマースタジアム長居が1996年に稼働してから25年。次の試合からは4月に竣工したヨドコウSAKURAスタジアムにC大阪のホームスタジアムは移ることになる。試合後大型ビジョンに映し出された「おおきに!ヤンマースタジアム長居」の文字。残念ながら有終の美を飾ることは叶わなかった。

文/吉村 憲文

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